トビケラ目の概要
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/30 17:06 UTC 版)
トビケラ目は毛翅目ともいい、ほとんどの種で翅が刺毛に覆われている。全世界で46科、12,000種以上が認められており、日本ではそのうち29科、400種以上の生息が認められている。完全変態をする一群で、チョウ目との共通祖先から進化したと考えられている。体は管状、長い糸状の触角を持ち、翅を背中に伏せるようにして止まる姿は一部のガ類に似ている。 幼虫はほとんどが水生で、細長いイモムシ状だが胸部の歩脚はよく発達する。頭胸部はやや硬いが、腹部は膨らんでいて柔らかい。また、腹部に気管鰓を持つものも多い。砂や植物片を自ら出す絹糸に絡めて円筒形その他の巣を作るものが多い。巣の中で蛹になる。羽化の際は、蛹自ら巣を切り開き、水面まで泳ぎ上がり、水面や水面上に突きだした石の上などで成虫になる。この様な羽化様式が多いが、クロツツトビケラなどでは、水中羽化も報告されている。 また、トビケラは種による差が認めにくいものがあるために同定は難しいものも多い。幼虫は巣の形で属レベルの同定が可能なものもある。成虫については、翅に明瞭な斑紋や色彩を持つ種もあるが、地味なものが大部分で、雌雄の生殖器の構造を見ることが必要になる。 水生昆虫としては流水性のそれとしてカワゲラ、カゲロウと肩を並べる。幼虫の生活する水域は種によって異なる。渓流やきれいな川に多いが、湖沼や池などの止水にも生息する。そのほか小さな湧水や岩盤を滴る流れにも生息する種がある。海産や陸生種もわずかだが知られる。ただし最近のスカンジナビアやカナダにおける研究では、汽水域には予想以上に多くの種が生息すると報告されている。日本の汽水域における研究は皆無である。
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