セマフォール
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 00:34 UTC 版)
望遠鏡が発明されると、それを用いて新たな通信手法が開発され、1793年にフランスのクロード・シャップは、フランスの首都パリとベルギーとの国境あたりのリールの間の230kmに通信塔(fr:semaphore セマフォール)を約10km間隔で配列し、腕木通信とよばれる通信を行い、230km先までかなりすみやかにメッセージを送ることを可能にした。これは塔の上に形を変えられるようにした大きな「腕木(うでぎ)」を設置し、この形の変化を望遠鏡で観測して文字や記号などとして読み取り、塔から塔へと中継していく仕組みである。このセマフォールがうまく機能し、各地の戦況が素早くパリの政権に伝えられたことで、フランス革命政府は通信システムの重要性を認識するようになり、フランス国内にセマフォールの通信網を張り巡らす計画が立てられ、1795年にはフランス国内が556のセマフォールによる総延長4800kmのネットワークで網羅された。このセマフォール通信は当時としては非常にすぐれており、アメリカやイギリスなどでも採用された。(その後他のもっと便利な通信方法が現れ現代では陸上ではセマフォール通信は使われなくなったが)セマフォール通信は、船舶、海運の世界では今日でも使われ続けている。現代でも船員は信号旗を用い、それをマストの張り出しの異なる位置に掲げることで他船に信号を送り、周辺を航行する船舶の乗組員は望遠鏡で信号旗の位置や種類を観測し、その船が置かれている状態の表示やその船が周囲の船に伝えたいことを読み取る。また船舶間では手旗信号による通信も行われている。 信号旗を用いた通信の例。離れていても望遠鏡でこの船の信号旗を観測することで「英国は各員がその義務を尽くすことを期待する」というメッセージを伝えていることが理解できる。トラファルガーの海戦での通信。 アルファベットを送る場合の信号旗 手旗信号でのアルファベットの一覧 手旗信号が実際に送られる時の雰囲気や速さが分かるgif動画
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