スリップウェアの歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 14:12 UTC 版)
「スリップウェア」の記事における「スリップウェアの歴史」の解説
多くの先史時代や産業革命前の時代の文化で、スリップウェアが作製されている。最古のものは紀元前5000年の古代中国や古代中東で作られたと考えられている。その後、アフリカの多くの地域、南北アメリカ大陸の先住民の間や、初期の朝鮮半島、ミケーネ文明、古代ギリシアの陶芸、イスラームの陶芸、そして17世紀から18世紀までのイギリスなどで重厚な陶器が作製され、鍋や皿をかねて使われていた。比較的進んだスリップウェア、例えばイギリスでのスリップウェアは釉薬と組み合わせて使われていた。 こうしたスリップウェアは進んだ陶磁器技法の普及や産業革命による大量生産品の普及とともに廃れた。しかし20世紀になって見直されこの技法を使う陶芸家やメーカーも多くある。そのうち、バーナード・リーチや富本憲吉は1913年に東京の丸善で購入したチャールズ・ロマックスの『古風な英国陶器』という本の中で、初めてスリップウェアの存在を知った。リーチと濱田庄司は1920年にイギリスに渡り、セント・アイブスの彼らの窯の近くでスリップウェアの破片を見つけるとともに現存するスリップウェアを収集し、1924年に濱田が日本に持ち帰った。柳宗悦や河井寛次郎もこれを目にし、彼らの作陶や民芸運動に強い影響を与えた。その後、布志名の舩木道忠が独自のスリップウェアに取り組み、その息子、舩木研児、倉敷の武内晴二郎らも引き続き独自のスリップウェアに取り組んだ。後年、丹波の柴田雅章によってイギリスのスリップウェア技法が明らかにされ、芸術新潮(2004年)の紙面において技法公開がなされた。
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