スピーチコード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 09:46 UTC 版)
アメリカの大学ではヘイトスピーチを処罰するキャンパスコード、キャンパスポリシーを採用するところもあったが、憲法違反の判決がくだされることがほとんどである。 キャンパスヘイトスピーチコードは1986年から1987年にかけての人種主義的な嫌がらせ事件が多発したため大学で制定されるようになったが、こうした規制について各地の大学で違憲訴訟が行われた。こうした規制にはマリ・マツダ、チャールズ・ロレンスなど批判的人種理論を称する法学の学説が影響を与えた。批判的人種理論に対してはナディン・ストロッセンらが批判した。 ミシガン大学事件では、ミシガン大学の研究者が生物学の研究を「性差別的」であると制裁を受けることが危惧され、連邦裁判所判決では大学の規制が、闘争的言辞(fightingwords)、わいせつ表現、名誉投損の範囲では憲法問題も生じないが、「伝達を意図されている意見又はメッセージに不同意であることを理由に、一定の言論を禁止する効果を有する反差別政策を立てること」は大学が行ってはならないこととした。また、不快という理由だけで言論を禁止することも大学ではできないとされた。ミシガン大学の規制は過度に広汎なものであり、また 「汚名を着せる(Stigmatize)」や 「苦痛を与える (victimize)」は正確な定義ができないため、範囲の限界や保護される行為とそうでない行為との区別ができない極めて漠然なもので、デュー・プロセス条項に違反するとして憲法違反の判決が出された。 ウィスコンシン大学事件では、人種主義的な差別的な表現や行動をとった学生を懲戒できるとする学内規則について連邦裁判所判決では、この規則は闘争的言辞の法理の範囲を逸脱したもので、また過度に広汎なもので漠然としているとして憲法違反との判決が出された。 セントラルミシガン大学事件でも連邦裁判所判決は、大学の規制は過度に広汎なもので、また内容および観点(ビューポイント)の規制を含むもので、また「不快」であるとは主観的な言及を定義にふくむものであるため、憲法違反との判決が出された。 こうして、文言が明確なコードで規制されたとしても、主題ならびに観点差別的な規制にあたるとして憲法違反との判決が出されてきた。
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