スタインハート–テュロックモデル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/01 00:45 UTC 版)
「サイクリック宇宙論」の記事における「スタインハート–テュロックモデル」の解説
このサイクリック宇宙モデルでは、二つの平行なオービフォールド(英語版)平面またはM-ブレーンはより高次元の空間の中で周期的に衝突する。われわれに可視的な四次元宇宙はこれらのブレーンの内の一つに横たわっている。その衝突は、収縮から膨張への反転または直後にビッグバンが続いて起こるビッグクランチに対応する。今日われわれが見る物質および放射は、ブレーンの前に作られた量子ゆらぎによって決定付けられたパターン中での直近の衝突の間に発生したことになる。最終的に宇宙は今日われわれが観測している状態に到達し、何億年も先の未来に再び収縮を開始する。暗黒エネルギーはブレーン間の力に対応し、磁気単極子問題、地平線問題および平坦性問題を解決する決定的な役割を担う。そして、このサイクルは過去と未来が無限に連なる。その解はアトラクターであり、宇宙の完全な歴史の情報を含んでいる。 リチャード・トルマンが示したように、初期のサイクリック宇宙モデルは宇宙が不可避の熱力学的な熱的死を経験するということから破綻していた。しかし、新しいサイクリック宇宙モデルは膨張していくサイクルを持ちエントロピーが増大するのを妨げることによってこの問題を回避している。しかしながら、このモデルには主要な問題が存在する。とりわけ、衝突するブレーンは弦理論学者によって理解されていない。また、スケール不変スペクトルがビッグクランチによって破壊されるかどうかは誰も知らない。さらに、宇宙のインフレーションのように真空のゆらぎを生成するために必要な力の一般的な特性(エキピロティック宇宙論のシナリオではブレーン間の力)が知られている一方で、その力に関する素粒子物理学からの候補はない。
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