スウェーデンにおけるバイリンガルろう教育の変質
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「バイリンガルろう教育」の記事における「スウェーデンにおけるバイリンガルろう教育の変質」の解説
鳥越隆士の報告によると、21世紀に入ってスウェーデンのバイリンガルろう教育は大きな変革の時期を迎えているとされる。その理由の一つ目は、1998年に実施された全国的な絶対評価の学力テストにおいて、ろう学校で学んだ子供たちの成績が予想以上に悪かったことが明らかになったことである。具体的には、高等学校への進学が許可される学力を獲得していた生徒が、全学校平均の90%に対し、ろう学校の卒業生に限ると40%程度だったのである。これにより、現在のスウェーデンのバイリンガルろう教育もまた、完璧なろう教育のシステムとは言いづらいことが判明した。 また、近年スウェーデンでは重度聴覚障害児の人工内耳装用率が激増し、新生児においては9割が人工内耳装用手術を受けているとされる。この為、聴覚活用が可能な聴覚障害児の数が増えるとともに、聴覚障害児のろう学校への進学率が下がっているという。また既存のろう学校に対しても聴覚活用に力を入れて欲しいという要求が強くなっており、聴覚口話法と手話法の両方の選択肢を用意しているろう学校も存在している。 手話に関しても、1983年のバイリンガルろう教育導入以降は20年間、同時法(音声言語対応手話と音声言語の発声を同時に行う方法)のろう学校における使用は公的には禁止されていたが、人工内耳装用の一般化に伴う聴覚活用ニーズの高まりとともに解禁された。
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