ジョンズ・ホプキンズ大学国際比較研究プロジェクトにおける定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 15:45 UTC 版)
「NPO」の記事における「ジョンズ・ホプキンズ大学国際比較研究プロジェクトにおける定義」の解説
1990年から行われたジョンズ・ホプキンズ大学国際比較研究プロジェクトにおいては、国際比較を可能とするためにNPOを次の要件を満たすものと定義した。 (1)正式の組織(Formal Organization)であること (2)非政府組織であること(Non-Political) (3)利益を配分しないこと(Non-Profit Distributing) (4)自己統治(Self-Governing) (5)自発的であること(Voluntary) 1994年までの研究プロジェクト第1段階では、 (6)非宗教組織であること (7)非政党団体であること が付け加えられたが、あくまで比較作業上の理由によるものであり、第2段階では、上記の狭義の定義と、(6)(7)を要件から除外し、さらに協同組合と相互団体を加えた広義の定義との2本立てで調査が行われた。 以上の定義が一般的であるが、NPO(非営利組織)を組織の分析概念とすれば、認識主体の認識対象の重要性に応じ、NPOの定義は、James & Rose-Ackerman(1988)、Hayes(1996)、電通総研(1996:23-24)、田尾(1999:4-5)、田尾・吉田(2009:3-4)、村上(2014:96)など、さまざまになされている。またL.M.サラモンの研究でも、上記の5つの定義構成要素に加え、6番目の構成要素として「公益性」(public benefit)すなわち「公共目的のために活動・貢献している」が加わっている(Salamon,1999:10-11)。複数の定義構成要素のうち、NPOの本質的特徴は、「利益を分配しないこと」すなわち「非利益分配拘束」がもっとも重要である。なぜなら、それ以外の定義構成要素の特徴は、一定の社会貢献を経営理念とし、株式会社の組織形態を採用する民間企業も該当する。しかし「非利益分配拘束」は、純粋型としてのNPO(非営利組織)に不可欠である。またNPOは“Non-Profit Organization”であるから、営利活動とは無関係に寄付金や助成金だけに依存する、ボランティアの組織であると考えれば、「ソーシャル・ビジネス」の組織をNPOに含むことができなくなる。NPOによる営利活動は十分あり得るし、また営利組織も、その社会的責任から公益性を追求し、社会貢献することは、今日では、むしろ一般的である(新原,2003)。したがってNPOは“Not for Profit Organization”と考えることが現実的である。民間企業でも本業の貫徹とその成就自体に社会貢献の意味が含まれる(村上,2014:97)。社会に損傷を与えるビジネスは一過的であり、営利の事業運営の継続性も、なんらかの社会貢献と自然に結びついている。ゆえに利益分配するかどうかの「非利益分配拘束」が「非営利」と「営利」の純粋型での違いである。
※この「ジョンズ・ホプキンズ大学国際比較研究プロジェクトにおける定義」の解説は、「NPO」の解説の一部です。
「ジョンズ・ホプキンズ大学国際比較研究プロジェクトにおける定義」を含む「NPO」の記事については、「NPO」の概要を参照ください。
- ジョンズ・ホプキンズ大学国際比較研究プロジェクトにおける定義のページへのリンク