ジャージーデビルとは? わかりやすく解説

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ジャージー・デビル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/02/08 07:56 UTC 版)

フィラデルフィア・イヴニング・ブレティン紙上で1909年1月に報告されたジャージー・デビルの図

ジャージー・デビル英語:Jersey Devil)は、米国ニュージャージー州一帯で古くから報告されているUMAリーズ・ポイントの悪魔またはリーズ家の悪魔とも呼ばれる[1]

概要

体長1 - 1.8mほど、または鹿に似た顔で、真っ赤な目を持つ。胴体は黒っぽい毛で覆われており、背中にはコウモリを思わせる翼が生えており、空を飛ぶ。尻には細長い尾がある。路上や建物の屋根に馬のひづめのような足跡を残す[2]

一説によれば、1735年、同州南部のパインバレンズ(松類荒原)に住んでいたリーズ家の母親が13番目の子を出産する際に大変な難産であったため、「こんなに苦しませる子なら悪魔が生まれてくればいい」と冗談で言った所、ようやく生まれた13番目の子供は母親の腕の中で、突如怪物へと変身し、そのまま天井を突き破り飛び去ったという[3][4]。生まれるや翼と尾と鉤爪をはやし、パインバレンズに飛んでいったともいう[3]

この「リーズ家の母親」に関してはデボラ・リーズという実在人物がおり、1736年時点で夫のジャフェットとのあいだに少なくとも12人の子供がいた女性なので[5]、これが悪魔の母なる女性に比定されることがある[6]

これ以外にも、多くの異説が存在する[4](人名も場所もさまざまである)。

例えば、実際に起きたのはリーズ・ポイントではなく、エステヴィル[注 1]だともされ、リーズという女性がその出産をしたのは1855年だった、とする民俗学者の記述も見える。そのまとめでは、妊娠中の女性は、いっそコウノトリが悪魔を持ってくればいい、とのたまい、はたして有翼の新生児が生まれ窓から飛び去ったが、ときおりまたやってくるのを追い払っていた、という[7]

目撃情報

1778年スティーヴン・ディケーター海軍代将が砲弾テストを行うためハノーバー鉄工所を訪問している際遭遇。発砲したところ、弾は翼膜を貫通したがそのままどこかへ消えたという[1]

1820年代に元スペイン国王ジョゼフ・ボナパルトがニュージャージーの地所で目撃した[4]

1909年1月16日から1月23日の8日間には目撃事件が集中発生し、出没地域は30以上にも上った[9]。このときは都市部でも目撃され、フィラデルフィアなどでも大騒ぎになった。21日には、市街電車が襲撃されたため武装した警備員が出動する事態となった。また、この騒動に際して目撃証言が西海岸側のカリフォルニア州にまで及んだり、カンガルーに細工を施し見世物として公表した例もある。

1980年ニュージャージー州南部に現れ、家畜を襲い、この際にも馬のひづめに似た足跡を残した。

1993年12月にはニュージャージー州の自然公園管理者ジョン・アーウィンが、のパトロール中に二本足で立つ怪物に遭遇した[10]。この生物はジョン・アーウィンズ・ウォートンステートフォレスト・モンスター(John Irwin’s Wharton State Forest monster)と呼ばれ、正体は鹿であった可能性がある[11]

最近では2007年、2008年にも目撃情報がある。

正体

その正体としては、

などが挙げられている。

関連作品

注釈

  1. ^ Esteville は、メイズ・ランディング英語版の近くとされる[7]。所在がエステヴィルという説を支持したひとりが史家の Alfred M. Heston (1928年)だという[8]
  2. ^ 2007年テレビ番組で放送された説。ウマヅラコウモリはエボラウイルス媒介動物であるが、その個体プラムアイランド動物疫病研究所英語版から脱出したという説なので事実であれば恐ろしいと疫学専門作家に意見されている。

出典

  1. ^ a b 未確認生物ミステリー研究会 2014, p. 85.
  2. ^ 未確認生物ミステリー研究会 2014, p. 84.
  3. ^ a b Riley, Karen F. (2010). The Pine Barrens of New Jersey. Charleston, SC: Arcadia Publishing. p. 99. ISBN 9781439638873. https://books.google.com/books?id=Trmu2Wxs4_cC&pg=PA99 、情報源をTuckerton Historical Society とする。
  4. ^ a b c 並木伸一郎 2007, p. 98.
  5. ^ Honeyman, A. Van Doren, ed (1918). Documents Relating to the Colonial History of the State Of New Jersey. 1st Ser.. XXX. Somerville, N.J.: The Union-Gazette Association. p. 295. https://books.google.com/books?id=ykvRN9EXi10C&pg=PA295 (1736年付のジャフェット・リーズの遺書。子供らの名前は列挙されるが、合計は書かれない)
  6. ^ Chaos, Chris (n.d.), Deborah Smith Leeds (Mother of the Jersey Devil?), https://www.academia.edu/9627222/DEBORAH_SMITH_LEEDS_Mother_of_the_Jersey_Devil_ : 1735年のデボラ・リーズ肖像画、および彼女が夫との間に"birth to 12 of his children"をもうけたと1頁目に、上述のHoneyman編本に掲載される1736年付のジャフェットの遺書の翻刻が3ページ目にある。
  7. ^ a b Woods, Barbara A. (January 1957). “Jersey Devil”. Western Folklore 16 (1): 63. doi:10.2307/1497076. JSTOR 1497076. https://books.google.com/books?id=STie7Bfc5TgC&q=%22jersey+devil%22 9 February 2023閲覧。. 
  8. ^ Beck (1983), p. 248.
  9. ^ 並木伸一郎 2007, p. 100.
  10. ^ a b 並木伸一郎 2007, p. 104.
  11. ^ Lore of the Loveland Frog” (英語). Tetrapod Zoology (2020年1月12日). 2023年11月18日閲覧。
  12. ^ ムー編集部 2021, p. 72.
  13. ^ Callahan, Joan R. (2009). Emerging Biological Threats: A Reference Guide. ABC-CLIO. p. 84. https://books.google.com/books?id=4KgCYw3tImQC&pg=PA84 
  14. ^ 大洋図書 2016, p. 21.

参照文献

関連項目


ジャージー・デビル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/20 10:25 UTC 版)

スティーヴン・ディケーター」の記事における「ジャージー・デビル」の解説

1800年代ディケーター代将長距離砲弾試験のためニュージャージー州パイン・バレンズのハノーバー鉄工所訪れた。そこで彼は青ざめて白い翼持った奇妙な生物空を飛ぶのを目撃した。それは「ジャージー・デビル」として記述されている。ディケーター大砲でその生物砲撃し、翼の膜に穴を空けたが、生物飛び続け無傷様子であり、見物人たちは驚きの声を上げた

※この「ジャージー・デビル」の解説は、「スティーヴン・ディケーター」の解説の一部です。
「ジャージー・デビル」を含む「スティーヴン・ディケーター」の記事については、「スティーヴン・ディケーター」の概要を参照ください。

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