ジャケット懸垂型の登場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/04 22:18 UTC 版)
「悠 (人工鰭のウミガメ)」の記事における「ジャケット懸垂型の登場」の解説
2010年5月24日になると、その日の会合で、東京大学海洋研究所チームから以下のような報告があった。 人工ヒレを装着すれば、外敵から逃げる時のような比較的速い速度を出せる可能性はある。しかし、ウミガメ類が最も生活の中で出している優雅にのろのろ泳ぐような巡行速度となるとそれを保つことができず、むしろ遅い速度になってしまっている。悠ちゃんの幸せのためには巡行速度を健常個体と同じ速度に保てるような人工ヒレが必要 6月20日になると、悠は神戸空港人工ラグーン(人工池)に戻され、久しぶりに人工ヒレの装着テストが行われ、ついで7月19日の装着試験において、新しいタイプの人工ヒレを試験した。この7月19日の人工ヒレは、ウミガメの身体への負担を軽減させるために、ウミガメにボディジャケットを着用させ、ジャケットから人工ヒレをたくさんのチューブで繋いで懸垂する方式が用いられた(ジャケット懸垂型)。しかしこのモデルは、悠が海に入った瞬間に外れてしまった。 さらに改良されたモデルを用いて、9月11日に装着試験を行い、今度は人工ヒレが外れることはなかった。しかし、この人工ヒレは浮力のある素材であるため、水中で悠が“万歳”をしている格好となってしまい、悠がより動きやすい“動きしろ”の割り出しも課題となった。10月17日には改良した第8モデルの装着試験が行われ、12月4日になると、避寒(越冬)のために悠を神戸市立須磨海浜水族園に移送した。悠は、水族館の大水槽の中で、第7モデルなど今シーズン開発された人工ヒレを1週間ほど再び装着した。 12月12日にプロジェクトチームは装着試験と、会合とを行った。会合では、大阪大学のチームから、ウミガメの遊泳にはヒレの上下運動とひねり運動が重要であり、悠は人工ヒレ装着直後にひねり運動が悪くなると報告があった一方、東京大学海洋研究所のチームから「人工ヒレを装着した悠ちゃんが時間の経過とともに遊泳速度が上昇しているのでは?」という報告もあった。
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