システムスペクトル効率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/29 14:45 UTC 版)
「スペクトル効率」の記事における「システムスペクトル効率」の解説
無線ネットワークでは、システムスペクトル効率が有限な無線周波数帯域で同時にサポート可能なユーザーやサービスの量の尺度となる。その単位は、bit/s/Hz/area unit、bit/s/Hz/cell、bit/s/Hz/site などと記される。システムが同時にサポートできる全ユーザーの最大スループットやグッドプットの総計を通信路の帯域(Hz)で割ったもので表すこともある。これには、単一通信路の通信技法だけでなく、多元接続手法や無線資源管理技法なども影響する。特に動的無線資源管理によって改善される。最大グッドプットで定義する場合、通信路間の相互干渉や衝突による再送のぶんは排除される。上位層プロトコルのオーバヘッドは無視される。 携帯電話ネットワークの容量は、1 MHz の周波数スペクトル上での最大同時接続回線数でも表され、Erlangs//MHz/cell、Erlangs/MHz/sector、Erlangs/MHz/km² といった単位になる。この値は情報源符号化手法(データ圧縮)にも影響され、アナログ携帯電話ネットワークでも使われる。 例: 周波数分割多元接続 (FDMA) と固定チャネル割り当て (FCA) に基づく携帯電話システムで周波数再利用係数が 4 であるとき、各基地局は全利用可能周波数スペクトルの 1/4 にアクセスできる。従って、最大システムスペクトル効率(bit/s/Hz/site)はリンクスペクトル効率の 1/4 となる。各基地局が3つのセクタアンテナで3セルに分割できる場合、これを 4/12 再利用パターンと呼ぶ。各セルは利用可能なスペクトルの 1/12 にアクセスするので、システムスペクトル効率(bit/s/Hz/cell または bit/s/Hz/sector)は、リンクスペクトル効率の 1/12 となる。 リンクスペクトル効率(bit/s/Hz)が低いからといって、システムスペクトル効率の観点から見れば、必ずしも符号化方式が非効率であることを意味しない。例えば、CDMAスペクトラム拡散は単一の通信路(あるいは1人のユーザー)だけを見るとスペクトル効率は良くない。しかし、同じ周波数帯域に複数の通信路を重ねることができるため、システムスペクトル効率は非常に良い。 例: W-CDMA 3G 携帯電話システムでは、電話をかけると最大 8,500 bit/s に圧縮され、これが 5 MHz 幅の周波数チャネルに拡散される。このときのリンクのスループットは 8,500/5,000,000 = 0.0017 bit/s/Hz となる。ここで、同じセル内で100件の(無音でない)電話が同時に可能であるとする。各基地局が3方向のセクタアンテナによって3セルに分割されるなら、スペクトラム拡散により、周波数再利用係数が 1 より小さくなる。このときのシステムスペクトル効率は 1 · 100 · 0.0017 = 0.17 bit/s/Hz/site または 0.17/3 = 0.06 bit/s/Hz/cell(または bit/s/Hz/sector)となる。 スペクトル効率は、固定/動的なチャネル割り当て、電力制御、リンクアダプテーションといった無線資源管理技法によって改善される。
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