サーブ 2000とは? わかりやすく解説

サーブ 2000

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/23 09:22 UTC 版)

サーブ 2000 要目一覧
乗員 2
乗客 58(最大)
初飛行日 1992年3月26日
全長 27.28m
全幅 24.76m
高さ 7.73m
主翼面積 55.74㎡
エンジン アリソンAE2100Aターボプロップ双発
プロペラ ダウティ R381 6枚羽
巡航速度 682 km/h
航続距離 2.868 km
実用上昇限界 9.450 m
総生産数 63機

サーブ 2000Saab 2000)は、スウェーデンサーブ社が開発したターボプロップ双発旅客機である。

概要

サーブが、コミューター機の成功作サーブ340に続いて開発した50/58席級の地域航空用ターボプロップ双発機がサーブ2000である。1988年に機体仕様の決定作業が開始され、同年12月15日にスイスクロスエアから確定25機、オプション25機のコミットメントを得て機体計画をローンチ、1989年5月に正式なゴーアヘッドとなった。機体は、主翼や胴体などの基本的な構造はサーブ340のものを踏襲し、特に胴体は340と同じ断面でそれを7.55mストレッチしている。このためサーブ2000は、単にサーブ340のストレッチ型と見られやすいが、実際にはターボプロップ・コミューター機の新時代を目指して作られた、全く異なった機体である。

サーブ2000開発最大の主観は、ターボプロップ機でジェット機並みの性能を得ることであった。ジェット機と同等の巡航高度と巡航速度性能を、ターボプロップ機の経済性で実現させることを狙ったものである。一方で、機体の開発コストを低く抑えるために、サーブ340で開発済みのコンポーネントを一部に使うこととした。以上の設計により、サーブ2000は、665km/h以上という高速巡航性能と低騒音性能に優れている。主翼はCASA(スペイン)、後部胴体はウエストランド・エアクラフト、尾翼はヴァルメトと生産を分業した。1992年3月26日に初飛行し、1994年9月に商業運航に就航した。

主翼は低翼配置・直線翼であり、垂直尾翼には、前部へ延びるフィンがついている。搭載エンジンはアリソン(現・ロールスロイス)が開発した新世代の大出力ターボプロップであるAE2100である。最大出力は2,722kWである。プロペラは6枚のブレードであり、低騒音に貢献している。また、グラスコックピットとなっている。サーブ340と比較して、胴体は7.55m延長され、主翼の長さもそれぞれ3.3m延長された。

サーブ2000は操縦輪の操作でオートパイロットを解除できない旅客機のひとつであり、この仕組みが重大インシデントの原因となったことがある(ローガンエアー6780便事故)。

生産・運用

サーブ 2000は34機がクロスエアで使われたほか、1997年には日本の運輸省(当時、現国土交通省航空局飛行点検機として2機を導入した(2019年に運用終了)。しかし、売り上げが低迷したため、1999年に製造が中止された。生産機数は63機。

売り上げが低迷した主な理由は、市場としていた50席前後のコミューター路線に、エンブラエル ERJ 145ボンバルディア CRJ等、低価格のジェット旅客機が登場し、競争に敗れたことである。このためサーブ社は旅客機市場から撤退することとなった。

軍用

派生型

サーブ2000AEW&C
  • サーブ 2000 AEW&C
エリアイレーダーを搭載する早期警戒管制機(Airborne Early Warning & Control)。パキスタン空軍サウジアラビア空軍が採用。

脚注

出典

  1. ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. pp. 279-283. ISBN 978-1-032-50895-5 

関連項目



サーブ2000

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 17:24 UTC 版)

サーブ 340」の記事における「サーブ2000」の解説

サーブ340胴体主翼大型化した50-58席級の機体販売低迷しサーブ民間機製造から撤退する原因となった

※この「サーブ2000」の解説は、「サーブ 340」の解説の一部です。
「サーブ2000」を含む「サーブ 340」の記事については、「サーブ 340」の概要を参照ください。

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