ゲーム脳の定義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 18:44 UTC 版)
長い歴史を持つテレビゲームは、今や若者や子供の定番の娯楽として普及しており、ゲームセンターや家庭用ゲーム機などでゲームに熱中する者も数多い。これを『ゲーム脳の恐怖』のまえがきで「テレビゲームが蔓延している」と表現した森は、自身が独自に開発した簡易型の脳波計(以降で述べる「簡易脳波計」は、すべて森独自のものである)で、テレビゲームのテトリス(『ゲーム脳の恐怖』内では「積み木合わせゲーム」と表現)などをプレイしている人間の脳波を計測した結果、ゲームに熱中している人間の脳波にはβ波が顕著に減衰する場合があると発表した。そして、この状態の脳波は簡易脳波計における認知症患者と同じだとし、脳の情動抑制や判断力などの重要な機能を司る前頭前野にダメージを受けているという説を論じている。 森は、脳波の中でもとくにα波とβ波の関係に着目し、数人の被験者を対象にゲームが脳波に及ぼす影響を調べた。その実験結果によれば、テレビゲームを始めるとかなりの割合でゲーム中にβ波がα波より低位になり、β/α値(α波に対するβ波の割合)が低下する。すなわち、ゲームをすることでβ波が激減してほとんど出ないようになるという。また、普段ゲームをしていない人はゲームをやめるとすぐにβ/α値が元に戻るが、一日に何時間もゲームをするなどゲーム漬けになっている人は回復が遅く、簡易脳波計において認知症患者と同じような波形を示すという。森はこの状態を「ゲーム脳」と定義した。 ただし、森の簡易脳波計で計測された脳波においては「認知症患者と同じ」としながらも、森は短時間のお手玉を2週間続けることでこの状態を回復できるとしている(ここでいう回復とは、β波が上昇することを指す)。また、この状態になっていても、記憶障害や言語障害などの認知障害や、脳の梗塞や萎縮といった、一般に知られている「認知症の症状」は一切伴うものではない。この点において、治療法が確立されておらず重度の障害を伴うアルツハイマー型認知症などの「医学として定義されている認知症」とは大きく異なる。 この違いについて、森は「若者は脳のほかの場所は働いているから、会話もできるし、ものを覚えることもできる。認知症の人は、こういったこともできなくなっている」としている。
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