将棋とゲーム脳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 18:44 UTC 版)
森は過去に「将棋も最初は脳が働くが、繰り返して慣れると脳の動きがパターン化して働かなくなってしまう。初期の段階はいいと思う。」と発言した。テレビゲームにおける「将棋のゲーム」については、『ゲーム脳の恐怖』の中で「ゲーム脳タイプの被験者においてβ波の活性がやや高まるケースがあったが、慣れるとβ波が低下したままになってしまう。考えなくてもゲームができるようになるからだろう」として、測定結果から、テレビゲームの形態では「考える」ことが抜け落ちた状態で将棋を指してしまうことになると指摘している。 のちの2004年に行われた講演では、「(実物の)将棋や囲碁は、指先だけでなく腕を動かすことにゲーム脳を防止する効果がある。」としつつも、「テレビゲームの将棋や囲碁は、慣れないうちは良いが、慣れるとパターン化してゲーム脳になってしまう」としている。つまり、高度な思考を伴うはずの将棋や囲碁であっても、その形態がテレビゲームであればゲーム脳の原因となり、実物がテレビゲームのものとは対照的にゲーム脳抑止に効果があるとする根拠は「腕を動かすから」の一点のみ見解として示している。 一方で、東北大学教授の川島隆太によると、「囲碁や将棋のプロ級の対戦では前頭前野がほとんど使われていなかった」という実験結果から、これは多くのテレビゲームにおける実験結果と類似しているとしており、東京大学教授の馬場章も、棋士の羽生善治が将棋を指しているときの脳波を「しっかりとした脳波計」で測定したところ同様に前頭前野が全く働かなかったという結果が出たとしている。馬場は、実験結果から「ゲーム脳の定義をそのままあてはめると、羽生もゲーム脳にあてはまってしまうのではないか」と指摘している。 なお、川島と馬場の両者は、ともにゲーム脳の「テレビゲームにより脳が壊れる」というゲーム脳の理論を一貫して支持しない立場にあり、これらの見解はゲーム脳仮説そのものを否定する意図によるものである。
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