ゲフィチニブ感受性変異
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 19:08 UTC 版)
「上皮成長因子受容体」の記事における「ゲフィチニブ感受性変異」の解説
2004年、ゲフィチニブにより腫瘍縮小がみられた非小細胞肺癌から発見された。EGFRをコードする遺伝子のうち、エクソン19にコードされるDNA15塩基(アミノ酸5残基)が欠損したもの(いくつかの亜型がある)、エクソン21にコードされる858番めのアミノ酸であるロイシンがアルギニンへ置換されたもの (L858R)、エクソン20にコードされる719番めのグリシン(G)がセリン(S)、アラニン(A)あるいはシステイン(C)へ置換されたもの (G719X: X = S, AまたはC) の3つ、特に前者2つの変異が存在すると、ゲフィチニブが腫瘍縮小効果を示す。 この変異EGFRは、EGFRのATP結合部位に構造変化を起こす結果、リガンドの刺激がなくても恒常的に活性化するようになり、細胞の悪性化に関わる一方、ゲフィチニブへの親和性も高まり、ゲフィチニブにより癌細胞がアポトーシスを起こし、腫瘍縮小効果を示す。この変異EGFRは肺癌の存在する周囲の正常肺にもみられること、変異EGFRを遺伝子導入したマウスが肺癌を発生することなどから、肺癌の発生の早い段階に関与している可能性が考えられている。この型の変異EGFRは、非小細胞肺癌の10%程度に存在し、また非喫煙者、女性、腺癌、東洋人に多く存在する。肺癌以外では、大腸癌の293例中1例、食道癌の50例中1例に検出されたと報告されたが、それ以外にはみられていない。またこれらEGFRのATP結合部位の変異の内訳をみると、エクソン19の欠失変異が44%、L858Rが41%を占め、その他G719Xや稀な変異が15%程度を占める。 現在、研究目的でL858R変異およびE746-A750欠損型特異的抗体が作成され、非小細胞肺癌の迅速かつ簡便な検出の研究が進められている。
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