ゲノム構成と複製
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 07:48 UTC 版)
「レンチウイルス属」の記事における「ゲノム構成と複製」の解説
他のレトロウイルスと同様に、レンチウイルスはgag、pol、env遺伝子を持ち、5´-gag-pol-env-3´の順に並んでいる。ただし、他のレトロウイルスとは異なり、レンチウイルスはtatとrevという2つの調節遺伝子を持つ。また、ウイルスによってはその産物がウイルスRNAの合成や処理、その他の複製機能の制御に関与するアクセサリー遺伝子を持つ。例えば、HIV-1の場合はvif、vpr、vpu、nefを持つ。長い末端反復(Long Terminal Repeat; LTR)は約600ntの長さで、そのうちU3領域が450nt、R領域が100nt、U5領域が約70ntの長さである。 レトロウイルスは通例、キャプシド内にRNAゲノムと結合する特定のタンパク質を持つ。これらのタンパク質は、ゲノム複製の初期段階に関与しており、逆転写酵素とインテグラーゼが含まれる。逆転写酵素は、ウイルスにコードされたRNA依存性DNAポリメラーゼである。この酵素は、ウイルスRNAゲノムを鋳型とし、相補的なDNAのコピーを合成する。逆転写酵素は、鋳型RNAを分解するRNaseH活性も持つ。インテグラーゼは、逆転写酵素によって生成されたウイルスのcDNAと宿主のDNAの両方に結合する。インテグラーゼは、ウイルスゲノムを宿主DNAに挿入する前にLTRを処理する。 Tatは、転写の際にトランス活性化因子として機能し、開始と伸長を促進する。 Rev応答エレメントは転写後に作用し、mRNAスプライシングと細胞質への輸送を調節する。
※この「ゲノム構成と複製」の解説は、「レンチウイルス属」の解説の一部です。
「ゲノム構成と複製」を含む「レンチウイルス属」の記事については、「レンチウイルス属」の概要を参照ください。
- ゲノム構成と複製のページへのリンク