ケネス・フランプトンの批判的地域主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/12 07:09 UTC 版)
「批判的地域主義」の記事における「ケネス・フランプトンの批判的地域主義」の解説
「批判的地域主義に向けて、抵抗の建築の六要点」でフランプトンはポール・リクールの「いかに近代的でありつつ起源に遡行し得るか。古く眠った文明を蘇生し、それを普遍文明へといかに参画させ得るか」を引く。フランプトンの考えでは批判的地域主義は、近代建築が持つ普遍的・進歩的特質においてそれを取り入れるべきであり、ただし批判的に、そして同時にその建物の地理的文脈に価値を置くべきものとされる。フランプトンはこう述べる。強調すべきは地理(地勢)、気候、光であり、背景(つまり絵画的な情景)より結構形態であり、視覚性より触覚性である。この議論でフランプトンは現象学に拠っている。 フランプトンが具体的に挙げる例はヨーン・ウツソンとアルヴァ・アールトである。フランプトンの視点では、ウツソンのコペンハーゲン近郊にあるバウスヴェア教会(1973-6)は、普遍文明と世界文化の統合に自覚的という。このことは、合理的、モジュラー的、中性的で経済的、そして一部プレハブ化されたコンクリートの外殻(つまりこれが普遍文明)、そして「非経済的」に特別デザインされた有機的内殻、宗教的空間への光の導入の仕方、西洋文化に先例がなくむしろ支那のパゴダの屋根のものとフランプトンが見る、複数文化への参照(つまりこれが世界文化)の対比に明らかである。アールトの場合、サユナットサロ(セイナッツァロ)の役場(1952)の赤レンガについて、そこには普遍テクノロジーへの抵抗と触覚的素材の使用によって効果的となる目論見がある、と論じる。たとえばこう述べる。階段室壁面のざらざらしたレンガ壁面と議会室木床の撓みの対比を、感じる。 ヨーン・ウツソン、バウスヴェア教会(1973-6) アルヴァ・アールト、サユナットサロ(セイナッツァロ)の役場(1952)
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