ケインズとカレツキ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 07:03 UTC 版)
詳細は「ケインズ経済学」を参照 この懐疑の中、ジョン・メイナード・ケインズは1936年に『雇用・利子および貨幣の一般理論』を発表する。ケインズは貨幣市場において流動性選好と貨幣供給量によって現実の利子率が決定されると説いた。将来に対する不確実性を伴う長期期待から導かれる期待利潤率(資本の限界効率)と利子率から決定される投資と貯蓄の均衡によって現実の生産水準(国民総生産、国民所得)が決定される。ケインズは、不均衡が価格硬直性から派生するとした古典派の主張を退け、彼らのセイの法則を否定した有効需要の原理に基づいて、自然生産水準と現実生産水準の乖離を埋めるための有効需要政策の必要性を訴えた。この主張によって、それまでのセイの法則の受容によって成立していた新古典派経済学体系が覆されるというケインズ革命が起こる。 ミハウ・カレツキはケインズよりも早い時期に祖国ポーランドにおいてケインズと同じ着想に達してポーランド語の研究論文を書いた(1933、1935)が、これらはポーランド語とフランス語のみで刊行していたため、すでに英語が主流であった経済学会ではそのころこの研究論文の革命的な価値に気づく者が殆どおらず、1935年の記事がフリッシュやヤン・ティンバーゲンのようなスウェーデン学派が評価したぐらいである。のち1936年にケインズの上記の著書が刊行されると、これへのコメンタリーという形で新たな論文(1936)を起こし、ケインズの提示した様々な概念が自ら数年前にすでに発表していたものと同じものであることを指摘している。
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