キング・タイドの脅威
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 05:26 UTC 版)
2000年にツバルが国連の加盟を果たし対外的な発言の機会も増えたころから、海抜の低いツバルの海面上昇やキング・タイドの被害は特に旧宗主国のイギリスを中心に報道で取り上げられるようになった。 1990年代末にはサイクロンによる海岸や小島の浸食はみられたものの、1998年には大規模なエル・ニーニョ現象の影響によってツバルの平均海水面はむしろ相対的に大きく下がっていた。 しかし、2001年以降になると再び大きなキング・タイドが襲うようになった。 海面上昇の懸念の中、50年以内に人の住めない土地になるかもしれないとされたことを踏まえ、ツバルは、およそ30年で国民全員を国外へ移住させることを目標に、オーストラリアとニュージーランドに国民を環境難民として受け入れることを要請した。 この要請はオーストラリアからは拒絶されたものの、2001年にニュージーランドから労働移民として毎年75人を受け入れるという約束を取りつけることができた。 また2002年にアメリカが京都議定書を離脱する決定をすると、実際に実行されることはなかったものの、ツバルはキリバスやモルジブとともに、京都議定書を批准していないアメリカとオーストラリアを国際司法裁判所へ提訴すると表明し注目を集めた。 一方で、ハワイ大学によって過去に設置されていたフナフティの潮位計では、1977年から1999年までの海面の平均上昇率は1年あたり0.9ミリであり、2002年には設置されて9年ばかりであったSEAFRAMEの測定結果を加味してもこの値に大差はみられなかった。 オーストラリアの国立潮汐研究所(NTF、現・国立潮汐センター、NTC)は海水面がはっきり上昇しているとは言えないとして、平均海水位の上昇に慎重な見方を示した。 その後も、ツバルは2006年に少なくとも1993年来の記録で最大のキング・タイドに襲われた。 フナフティでは特に大きなキング・タイドが4年から5年の周期で襲うことがわかっている。 また、さまざまな要因から砂浜が削られる、海岸の植物が倒されるなどの海岸浸食も進んでいる。海水温の上昇などによってサンゴ礁が白化し、漁獲高も減ってきている。
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