キケロの政治構想
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「マルクス・トゥッリウス・キケロ」の記事における「キケロの政治構想」の解説
「ローマ哲学」も参照 キケロは、カエサルと並ぶラテン語散文の名手であり、その完成者といわれる。彼の著作は多岐にわたり、演説や書簡でも知られている。彼の文学者としての評価および政治思想家としての評価は定まっており、今日でも注目を浴び続けている。しかし、政治家としてはいくつかの欠点があり、その政治行動と業績については評価が分かれる。 キケロは、カエサルとは異なり、共和政の範囲内でローマ社会の改革を企てており、『国家論』『法律』『義務について』の中で、第一人者(プリンケプス)の指導により元老院と平民との融和を図った。更に、ローマ法についてもギリシア哲学を基にして、今までの事例中心だったローマ法を体系的に再編成するなどの作業を通じ、共和政の中身を改革することを政治課題としていた。しかし、それが皮肉にもアウグストゥスによる元首政の構想に引き継がれることとなった。 キケロには、多くの弁論や演説が現存する。その中でも、反乱謀議のかどでカティリナを弾劾した元老院演説『カティリナ弾劾演説』は有名である。その他『国家論』『法律』『友情について』『老年について』『神々の本性について』『予言について』などがある。また、家族・友人に送った書簡も数多い。その思想は、当時ローマで主流だったストア哲学にローマの伝統的価値観を取り込んだ折衷的なものとして知られる。たとえば、『義務について』では、ストアの義務論を、賢人にのみ可能な善の実践としての義務と一般人にも可能な日常好ましいことの実践としての義務 (officium) の履行に換骨奪胎している。
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