オールド・フェイスフル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/19 00:49 UTC 版)
「グレアム・オブリー」の記事における「オールド・フェイスフル」の解説
彼の自転車は自作であり、非常に独創的な形をしている。フロントフォークは片側のみ、フレームにはチューブが一本だけあり、通常のホリゾンタルフレームではBBと後輪を直線的につなぐチェーンステイがクランクとの干渉を避けるために斜め上方から後輪とつながっている。またハンドルの位置は通常より非常に近い奇妙な形状である。しかし全てが空気抵抗を軽減する工夫のために考案されたものであり、例えばトップチューブとダウンチューブを兼ねた一本だけのフレーム前面(前三角)と独特のチェーンステイ、シートステイ(後三角)を持つフレーム形状により極端に狭いボトムブラケット幅でもフレームにより両足のペダリングが妨げられず、また通常より極端に近いハンドル位置は両腕を曲げてハンドルの上に上体の全荷重をかけて伏せるような姿勢(『タック・ポジション』『オブリー・ポジション・マーク・ワン』と呼ばれた)を可能にした。自転車で高速走行をする上で最大の障壁は空気抵抗であり、このタック・ポジションは空気抵抗の軽減に非常に効果があった。 またこの自転車に使われた材料も非常にユニークで、独特な形状のフレームとハンドルは子供用の自転車をもとに自宅のガレージで溶接を施して作られたほか、ベアリングには廃材で棄てられていた洗濯機の部品まで使われていた。これは空気抵抗の低減のためにQファクターを狭めるためには既存のBB規格では不可能なため、より幅の狭い規格外のBBを独自に作るために洗濯機の薄く耐久性の高いベアリングが最適だったため。この独創的な自転車を彼は『オールド・フェイスフル』と名づけていたが、これでフランチェスコ・モゼール以来破られる事のなかったアワーレコードの更新に成功、また個人追抜競争の世界選手権でも改良型のオールド・フェイスフルが使われ、優勝している。一方、フランチェスコ・モゼールもこの記録更新に刺激され、オールド・フェイスフルに類似したフレームとタック・ポジションを用いて自己記録を更新した。 現在では、このオールド・フェイスフルで国際自転車競技連合(UCI)公認の競技に参加する事はできない。しかし、自転車の工学的な可能性に貢献した理由からエディンバラのスコットランド博物館に保管展示されている。
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