オリーブは眠れる木なり野分だつ
作 者 |
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季 語 |
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季 節 |
秋 |
出 典 |
眠れる木 |
前 書 |
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評 言 |
オリーブはホルトの木とも呼ばれていた。 旧約聖書の創生記にノアの方舟が記されている。その方舟から放たれた鳩が二度目に戻って来たとき、オリーブの若葉を咥えていたと言う。そこでノアは陸地が近いことを知った。 原産地は地中海をとりまく小アジアや、北アフリカとされ、古くからヨーロッパの人びとにとって馴染み深い。平和と希望、繁栄そして勝利の象徴の木である。 日本へ渡来したのは江戸時代といわれるが、はじめて栽培に成功したのは明治41年、小豆島であった。地中海沿岸の温暖と乾燥した気候(オリーブ気候)と、この地の風土に近いものがあったのだろう。いまは本州の西南部地方や、九州の一部でも栽培されており、東京近辺でも見られる。 オリーブはモクセイ科の常緑小高木(樹髙は3~10メートル)。樹齢1000年以上にも。5~6月頃、モクセイに似た黄白色の小花を総状につけ、芳香を放つ。秋、2~3センチの実を結び、これはオリーブ油、ピクルス等に利用されているのは周知のことである。 「野分だつ」の季が置かれたことで、オリーブの木のいまの環境が決して好ましいものではないことを知る。湿潤と風に弱い。まして野分。木はいかに辛くても植えられた場所を終生動くことは許されない。「眠れる木」は別の表現をすれば「耐えている木」であろう。 平和と希望、繁栄のこの木は目覚める。いまは「眠れる木」であってもきっと目覚める。 写真提供=フォトクラブ吉川 |
評 者 |
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備 考 |
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