オゾン層の劣化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/04 06:24 UTC 版)
詳細は「オゾンホール」を参照 年々、オゾンが集中する大気層に見られる巨大な劣化部分(オゾンホール)が南極上空で成長している。2008年9月、この部分が南極大陸を上回る過去最大の大きさとなり、12月末までの長い期間にわたり持続していた点も過去に見られなかった。 最初にオゾンホールを発見したのは南極地域観測隊の忠鉢繁である。観測したオゾン全量があまりに小さかったことに気づいた忠鉢は、初めは計器の故障を疑った。やがて本当にオゾンが少ないことに気づき、1984年の国際オゾンシンポジウムでこの事実を発表した。イギリスも観測結果から1985年にオゾンホールを発見し、「オゾンホール」というわかりやすい言葉を使った報道も相まってオゾンホールの存在は世界に知れ渡ることとなった。観測の結果から年を追うごとに拡大傾向にあることが分かった。これは、オゾンを他のガスに変質させる効果を持つフロン類(CFCs)が大気中に放出された結果、大気の大循環によって南極に集められていたことが判明したのである。 このオゾン層破壊が南極そして南半球へ気候変動を引き起こす要因となる可能性が、いくつかの研究から指摘された。成層圏でオゾン層はほとんどの紫外線を吸収する。これが南極上空で欠乏すると、そこの成層圏の温度が約6℃程下がる可能性がある。そうなると、南極大陸を取り囲むように吹く西風(極渦)が強まり、大陸の冷気を封じ込めてしまい、大陸塊にある東南極の氷床の温度が下がると考えられる。相対的に南極半島など周辺の温度は上昇し、氷の溶解を促進する。この理論では、オゾン層破壊による極圏への紫外線照射量増加、そして極渦効果の高まりによって、大陸沿岸の海氷はむしろ増えることが見込まれる。
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