オオシモフリエダシャクは幹に止まらないので幹に止まるという仮定に基づいた実験は無効である
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/27 01:06 UTC 版)
「工業暗化」の記事における「オオシモフリエダシャクは幹に止まらないので幹に止まるという仮定に基づいた実験は無効である」の解説
生物学者ジェリー・コイン(en:Jerry Coyne)による、マイケル・マジェラス(en:Michael E. N. Majerus)の著書Melanism: Evolution in Action.のレビューの中で、コインは「マジェラスは、もっとも深刻な問題はオオシモフリエダシャクがおそらく木の幹で休まないこと―40年以上の観察で木の幹の上にはオオシモフリエダシャクが二個体しか見つからなかったこと―だと記録した」と述べた。このことはジャーナリストのロバート・マシューズも1999年3月のサンデーテレグラフの記事で引用している。インテリジェントデザインの指導者フィリップ・E・ジョンソンは「くさび戦略(en:Wedge strategy)」を提案したセミナーの中でそのレビューを取り上げ、インテリジェントデザイン支持者ジョナサン・ウェルズもまた著書の中で繰り返しこの主張を展開した。 これらは単純に事実と異なる。実際にはマジェラスの著書には、マジェラスが自然状態で休息場所を確認したオオシモフリエダシャク47匹のうち、12匹が木の幹の上におり(6匹はむき出しで、6匹は隠れて)、20匹は枝の付け根に、15匹は枝に止まっていたと記されていた。また、2001年から2007年にかけて改めてケンブリッジで行われた研究においても、35%が幹に止まったことが確認されている。 なお、昆虫学者ドナルド・フラックとのやり取りにおいて、ジョナサン・ウェルズは、Melanism: Evolution in Action.の中でマジェラスが6匹がむき出しの木の幹に止まったと記録していることを認めたが「数万匹の蛾の中で6匹は取るに足りない割合だ」と主張した。これに対してフラックはウェルズが野生で観察された47匹とライトトラップにかかった数万匹を混同していることを指摘したうえで「“観察”にもとづけば、蛾の真実の休息場所はライトトラップの下のトレイだということになる」と皮肉っている。
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