エネルギーの安定化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 04:48 UTC 版)
「シクロール仮説」の記事における「エネルギーの安定化」の解説
2つの連続した編集者への書簡(1936年)において、リンチとフランクは、ペプチド基のシクロール形が実際にアミド形よりも安定かどうかという問題に取り組んだ。比較的単純な計算は、シクロール形がアミド形よりも著しく「不安定」であることを示した。したがって、シクロール模型は、埋め合わせのエネルギー源が同定できない限り、捨てられなければならない。当初、フランクは、シクロール形が周囲の溶媒とのより良い相互作用によって安定化されるかもしれない、と提案した。後に、リンチとアーヴィング・ラングミュアは、非極性側鎖の疎水性会合がシクロール反応のエネルギー的コストを乗り越えるための安定化エネルギーを与える、という仮説を立てた。 シクロール結合の不安定性は、本模型の「優位性」として見られた。なぜなら、変性の特性について自然な説明を与えるためである。シクロール結合のより安定なアミド結合への復帰によって構造が広がり、それらの結合がプロテアーゼによる攻撃を受けるようになり、実験と一致する。初期の研究は、圧力によって変性されたタンパク質が、高温によって変性された同じタンパク質としばしば異なる状態にあることを示した。これは、変性のシクロール模型を支持しているかもしれないと解釈された。 疎水性安定化のラングミュア・リンチ仮説はシクロール模型と共に失脚したが、これは主にタンパク質が水素結合によって安定化されるという仮説を好んだライナス・ポーリングの影響によるものであった。疎水性相互作用がタンパク質折り畳みの主な原動力であると認られるまでには、さらに20年を要した。
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