ウラル語族の言語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/18 19:08 UTC 版)
ほとんどのウラル語族、たとえばフィンランド語、ハンガリー語、エストニア語は、弁別的な拍の長音素を、(議論の余地はあるが、原音素、あるいはや音添加の母音・子音とも呼ばれる)音素として持っている。 母音の長音素の語源は、再建されたウラル祖語における有声軟口蓋摩擦音に由来する。[Vɣ] が [Vː] になるように。たとえば、フィンランド語の「taka-」(後ろの-)、「takka」(暖炉)、taakka(重荷)は無関係な語である。それは文法的にも重要である。三人称標識は長音素であり(「menee」彼/彼女は行く)、そしてしばしばヘルシンキ地方のフィンランド口語では、文法的な最小対がある。たとえば、主格の「Stadi」(ヘルシンキが)と、分格の「Stadii」(ヘルシンキで)。 フィンランド語、エストニア語、サーミ語には、長音素の二つの異音的な長さもあり、「半長の」と「特に長い」である。たとえば、フィンランド語の命令形「anna!」(与えよ!)は短母音を持ち、「oma」(自分の)は半長の母音を持ち、「Annaa」(アンナで)は特に長い母音を持つ(これら三つを弁別するあらゆる弁別的な音調の変化なしで)。エストニア語やサーミ語にも、子音に三段階の弁別がある。たとえば、lina「ベッドのシーツ」、linna(半長の「n」)「都市の」、linna(特に長い「n」)「都市に」。音素の対立が最も強いエストニア語は、二つを弁別する第二の手がかりとして音調の曲線を使う。「特に長い」ものは他のフィン諸語のように下降するが、「半長の」ものは上昇する。 フィンランド語も、主に更なる長さ(約100ミリ秒)を音節主音の母音に加えることで強勢を示す。これはフィンランド語に五つの異なる物理的な長さがあることを意味する。(最初の――そして先述の強勢のある――音節が一つの短母音であるならば、半長の母音は音韻論上、第2音節に現れる短母音である。)強勢のない短母音は物理的持続が約40ミリ秒であり、強勢のない長母音は約70ミリ秒である。強勢は約100ミリ秒を加え、強勢のある短母音は130~150ミリ秒、強勢のある長母音は170~180ミリ秒を使う。半長母音はいつも短く強勢がなく、弁別的に標準よりも40ミリ秒長い。
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