ウラン235の核分裂反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 09:49 UTC 版)
「核分裂反応」の記事における「ウラン235の核分裂反応」の解説
核分裂反応の特に有名な例としてウラン235の核分裂反応が挙げられる。ウラン鉱で産出する天然ウランには、核分裂しやすいウラン235とほとんど核分裂しないウラン234、ウラン238が含まれている。ウラン235が中性子を吸収すると、原子核が不安定になり、エネルギーを放出して二つの原子核と幾つかの高速中性子への分裂 235 U + n → 95 Y + 139 I + 2 n {\displaystyle {}^{235}{\rm {U}}+{\rm {n}}\rightarrow {}^{95}{\rm {Y}}+{}^{139}{\rm {I}}+2{\rm {n}}} が起きる。この反応ではイットリウム95 とヨウ素139 が生成されるが、上式で元素記号の左肩に示した質量数は原子核の中に存在する陽子と中性子の和であり、反応の前後において質量数は保存される。 しかし、質量数はあくまで陽子と中性子の総和であって質量ではなく、実際の原子核の質量は一般に質量数である陽子と中性子の質量の総和よりも小さい。この質量差を質量欠損と呼び、原子核内部の結合エネルギーに相当する。質量欠損と結合エネルギーの関係式は、質量とエネルギーの関係式E=mc²(特殊相対性理論)で表される。よって、原子が核分裂を起こすとこの質量の差に相当するエネルギーが外部に放出される。 上記ウラン235の核分裂反応で放出されるエネルギーはウラン原子一つあたり約3.2×10-11 J となる。アボガドロ定数をNA 、質量数をA として、ウラン235 1グラムあたりに含まれる原子数は N A A = 6.02 × 10 23 m o l − 1 235 g / m o l = 2.56 × 10 21 g − 1 {\displaystyle {\frac {N_{A}}{A}}={\frac {6.02\times 10^{23}\;\mathrm {mol} ^{-1}}{235\;\mathrm {g/mol} }}=2.56\times 10^{21}\;\mathrm {g} ^{-1}} であるから、1グラムのウラン235、すなわち2.56×1021 個のウラン235が全て核分裂を起こすと ( 3.2 × 10 − 11 J ) × ( 2.56 × 10 21 g − 1 ) = 8.2 × 10 10 J / g {\displaystyle (3.2\times 10^{-11}\;\mathrm {J} )\times (2.56\times 10^{21}\;\mathrm {g} ^{-1})=8.2\times 10^{10}\;\mathrm {J/g} } とおよそ 8.21×1010 J のエネルギーが生まれる事になる。これは、1世帯が消費するエネルギーの約2年半分に相当する。
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