ウラル系民族の歴史
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 03:21 UTC 版)
ウラル語族を話す民族は大きくサモエード系とフィン・ウゴル系に大別される。 言語学的知見からは、サモエド祖語とフィン・ウゴル祖語の分岐年代はおよそ紀元前4000年ごろと考えられている。 分子人類学的知見からは、ウラル語族話者に関連する遺伝子としてY染色体ハプログループNがあげられる。ハプログループNは東アジア発祥と考えられ、ほとんどのウラル系民族で高頻度に観察される。中国北東部の遼河文明時代の人骨からY染色体ハプログループNが60%以上の高頻度で検出されており、フィン・ウゴル系民族と関連する櫛目文土器の最古のものが遼河地域の興隆窪文化(紀元前6200年-紀元前5400年)の遺跡で発見されていることを併せて考えれば、ウラル系民族と遼河文明の担い手集団の関連性が示唆される。 またmtDNAハプログループZは極北地域を中心にサーミ人、フィン人、シベリア、北東アジア、中央アジア、中国、朝鮮、日本などで観察されており、Y染色体ハプログループNと同じような流れが想定され、ウラル語族の拡散との関連を示唆するものと考えられる。 朝鮮半島では紀元前4000年から紀元前1500年にかけて櫛目文土器が発見される。さらにウラル語族に広く見られる中舌母音[ɨ]が古代朝鮮語に存在したと考えられることから、朝鮮民族の基層がウラル系民族である可能性がある。 また日本の日本海側や東北地方に観察される中舌母音の[ɨ](いわゆるズーズー弁)についてもウラル語族の音声特徴に由来する可能性がある。
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