イメージ・コミックスの登場
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「アメリカン・コミックスにおけるクリエイターの権利」の記事における「イメージ・コミックスの登場」の解説
1992年、トップクラスの人気を持っていた数名の作画家がマーベル社を脱退してイメージ・コミックス社を発足させた。当時、マーベルがコミック作品の商品化で大きな利益を得ていた一方で、クリエイターたちはわずかな金銭的報酬しか与えられないことに不満を抱えていた。『X-メン』のジム・リー、『X-フォース』のロブ・ライフェルド(英語版)、『スパイダーマン』のトッド・マクファーレンら創立者たちのスター性と、彼らがマーベルで作り出した人気キャラクターの権利を与えられていなかったという驚きが後押しになり、イメージはファンから熱狂的に受け入れられた。 イメージは創立者たちが個別に構えたスタジオを統合する存在であり、定款では著作権に関して以下のように述べられていた。 作品はイメージ社ではなく作者が所有する。 共同創立者は互いの作品に干渉しない。イメージ社は社名とロゴ以外の知的財産を所有しない。 イメージの傘の下でそれぞれのスタジオから発刊された『ワイルドキャッツ(英語版)』、『ウィッチブレイド』、そしてマクファーレンの『スポーン』は、歴史の長いコミックシリーズと互角の競合を繰り広げた。『スポーン』第10号 では大出版社のヒーローに似せたキャラクターが牢獄から解放を求めている風刺的なシーンが描かれ、クリエイターの権利拡大の旗手としてのイメージを強調していた。 イメージの成功により、人気クリエイターがライセンシング権と編集上の自由を求めて自身のシリーズを立ち上げる動きが現れた。『アンキャニィX-メン』のライターとして人気を築いたクリス・クレアモント(英語版)はDC社で Sovereign Seven を出した。同じく『アンキャニィX-メン』で名を挙げた作画家ジョー・マデュレイラはワイルドストーム(英語版)社で Battle Chasers を描いた。カート・ビュシーク(英語版)、アレックス・ロス、ブレント・アンダーソン(英語版)らはイメージから『アストロシティ』を出した。とはいえ、このような行動に出たクリエイターは全体から見ればわずかなものであった。 巨大企業と戦う理想主義のアーティスト集団というイメージ社への幻想は長く続かなかった。刊行物の遅延などへの批判が高まり、イメージ創立者たち自身が配下のクリエイターを不当に扱っていたことも明らかになった。90年代半ばにはコミック界全体でバブル崩壊が起き、イメージ社の事業も大幅に縮小した。
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