イとエの区別
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 09:25 UTC 版)
特に茨城弁の大きな特徴として挙げられるのは、イとエの区別が確かでないことである。標準語ではイと発音すべき場合も、エと発音すべき場合も、どちらもイとエの中間音で発音される。例として、「茨城」は本来「イバラキ」と発音されるが、最初の「イ」がイよりエの発音に近くなり、エとまではいかない音となる。このため、イとエを区別している人には「エバラキ」と言っているように聞こえる。同様に「職員」は、正確なイの音にならずエに寄った音になるので、「ショクエン(食塩)」のような言い方になる。 反対にエの場合も同様で、「鉛筆」は本来「エンピツ」と発音されるが、最初の「エ」が「イ」に寄った音になるので「インピツ」のようになる。「駅」は「イキ」、「息」は「エキ」と言ったように聞こえるが、実際には反対に言っているわけではなく、どちらもイエの中間音で発声される。 このイエ混同の訛りは、特定の語にあらわれるのではなく、イエの音を独立母音として含んでいる場合に全ての語で適用され、「書きことば」にまで累を及ぼし、「考える」→「考いる」、「願います」→「願えます」のような書き誤りも往々にしてある。イエ混同については茨城県下全体のほかに、栃木県や東北地方南部にかけてみられるが、茨城でも若年世代に従ってだんだん少なくなる傾向にある。 加藤正信の『方言の音声とアクセント』では「イとエを区別せずにエに統合」した地域として茨城を含め、青森東部・岩手・宮城・山形の北西部を除いた地域・福島・千葉北部・栃木の南西部を除いた地域・埼玉の北東部の一部地域が示されている。一方、茨城方言のバイブルとも言える『茨城方言民俗語辞典』では「え」項を放棄して編纂している。
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