アンブシュアと音の生成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/16 09:17 UTC 版)
「ファゴット」の記事における「アンブシュアと音の生成」の解説
ファゴットのアンブシュアは、朗々とした、丸く、豊かな音色を出すために非常に重要な要素である。唇は両方とも歯の上に丸め、上唇がさらに「出っ歯(英語版)」に沿っていることが多い。唇はリードの全周に微弱な筋肉の圧力を加え、これによってイントネーションと倍音を大きく制御する。そのため、音が変化するたびに常にアンブシュアを調節しなければならない。唇をリードに沿ってどのくらいの位置に置くかは、音色(口の中のリードが少ないとよりエッジが効いた音になり、口の中のリードが多いと滑らかで押しの小さな音になる)とリードの圧力への応答の仕方の両方に影響する。 ファゴットのアンブシュアに使用される筋肉組織は、主に唇の周りにあり、リードに圧力をかけて、望む音を出すために必要な形状にする。顎を上げたり下げたりして口腔を調整することで、より良いリードコントロールができるようになる。しかし、顎の筋肉はシングルリードに比べて上向きの垂直方向の圧力にはあまり使われておらず、実質的に非常に高い音域でのみ使われる。しかしながら、ダブルリードを担当する生徒は、唇のやその他の部位の筋肉の制御がまだ発達中であるため、としばしばこれらの筋肉を使ってリードを「噛んで」しまう。しかし、これはリードの開口部を収縮させ、そのブレードの振動を押しとどめるので、一般的に鋭く、「詰まった」音になる。 適切なアンブシュアとは別に、生徒は横隔膜、喉、首、胸の上部の筋肉の調節と制御をしっかりと身につけなければならない。これらはすべて空気圧を高めたり方向付けたりするために使われる。空気圧は、ダブルリード楽器の音色、イントネーション、プロジェクションの非常に重要な要素であり、アンブシュアと同じくらい、あるいはそれ以上これらの質に影響を与える。 望ましいピッチのためには不正確な量の筋力や空気圧でファゴットの音をアタックすると、イントネーションが悪くなったり、クラッキング(割れ)または重音が発生したり、誤って不正確な部分音を出してしまったり、あるいはリードが全く音を出さなくなる。これらの問題は、リードの個々の品質によって悪化するる。リードは内因性と外因性の理由から、振る舞いに一貫性がない。 筋肉の必要性とリードのばらつきは、ファゴット奏者(およびオーボエ奏者)が全てのリード、ダイナミクス、演奏環境にわたって一貫した制御ができるアンブシュアを身につけるには、ある程度の時間が必要なことを意味する。
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