アンヌウヴンの乙女とイスタウイングンの魔女
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/10/21 03:12 UTC 版)
「九人の魔女」の記事における「アンヌウヴンの乙女とイスタウイングンの魔女」の解説
「アンヌウヴンの略奪(英語版)」では異界の島アンヌウヴン(Annwfn, アンヌンAnnwnとも。ウェールズにおけるケルトの異界)の九人の乙女の女祭司が魔法の大釜を守っているが、彼女たちの魔法には火を吹くことも含まれていたと考えられる。アーサーと彼の軍団の襲撃により大釜は奪われるか破壊されたが、アンヌウヴンの乙女たちがどうなったかについては言及されていない。超自然的な9人の女性のモチーフは、その他のケルトの異界の物語にも登場するが、これはおそらく古いケルトの宗教(英語版)における女祭司の共同体と関連すると考えられる。 イスタウイングン(Ystawingun、Ystavingunとも)の九人の魔女は10世紀の詩「門番は何者か(Pa Gur yv y Porthaur)」の1行で触れられる。詩の中では彼女らをこの高地で殺害した武勲はカイ(のちの伝承のケイ卿)のもっとも偉大な功績に数えられている。イスタウイングンがどこかは不明だが、スタントン・ムーア(英語版)と、そこにあるNine Ladies(英語版)として知られるストーンサークル、あるいはPorthsgiwed(英語版)と関連づけられると考えられる。ジョンとケイトリン・マシューズ(英語版)によれば、「門番は何者か」でカイに殺害されたと信じられている女性たちは、実のところ「アンヌウヴンの略奪」の異教の女祭司と同一なのである。 ノリス・J・レーシー(英語版)やJohn T. Koch(英語版)などの研究者は、「アンヌウヴンの略奪」に加えて、7世紀のブルターニュのレー(英語版) "Vita Prima Samsonis" の9人の魔女の姉妹と彼女らの母と関連づける。彼女の説明はアイルランドの女神モリガンと共通点がある。この作品ではドルのサムソン(英語版)[要リンク修正]が凶暴な目つきの魔女(malefica)で、自身をテオマッハ(Theomacha、神の敵)と称する姉妹のひとりと、彼女がロワールの島の森の中を飛んでいるところで出会う。彼女は彼の若い助祭のひとりに攻撃をしかける。サムソンは悔い改めて改心するように言うが、彼女はこれまでの人生で成してきたような悪事以外を行いたくなかった。その後神の敵は逃げ去ろうとするが、サムソンはこの場に止まるように命じ、彼女を空中で全く動けないようにして、最後の機会を与えるが、彼女は救済の及ばないことを知る。サムソンは全く救いようのない女性を破滅させる祈りを始め、祈りが終わるやいなや彼女は落ちて死ぬ。
※この「アンヌウヴンの乙女とイスタウイングンの魔女」の解説は、「九人の魔女」の解説の一部です。
「アンヌウヴンの乙女とイスタウイングンの魔女」を含む「九人の魔女」の記事については、「九人の魔女」の概要を参照ください。
- アンヌウヴンの乙女とイスタウイングンの魔女のページへのリンク