アラビア古来の天文学の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 07:41 UTC 版)
「星座の書」の記事における「アラビア古来の天文学の影響」の解説
アラブ世界において、人々は古代から多くの星に独自の名前を付けていた。また、気象予報や暦の作成の為の占星術・気象学の系譜に連なる学問として、アラビアの伝統的な天文学が発展した。このような学問は、アッ・スーフィーらアラブ世界の学者に浸透していた。『星座の書』の中でアッ・スーフィーは、天文学を、純粋な天文学とアラビアの伝統的な天文学とに分け、両者を並立させている。そして、アラビアの伝統的な天文学の発展について解説を加え、アラブ世界に古くから伝わる星々の挿話にも触れ、星、アステリズム、星座のアラブ世界における名前を、『アルマゲスト』のものと対応させる作業も行っている。また、アッ・スーフィーが星表の星の名前として『アルマゲスト』の記述をアラビア語訳し、また補足説明としてアラブの伝承に基づく呼び名を星図に書き加えたものの中には、現在の星の固有名にも影響を与えているものがある。 『星座の書』の星座絵の中には、東洋化しただけではなく、アラビアの伝統的な天文学の影響を受けて、更に変化した星座もある。例えば、「鎖に繋がれた女(アンドロメダ座)」には、『アルマゲスト』由来の標準的な星座絵の外に、脚に「魚」が重なった姿、胴に二匹の「魚」が重なった姿、と三通りの星座絵を描いている。また、「馬の一部(こうま座)」、「大きな馬(ペガスス座)」の他に、馬の全身を描いた星座絵も記載されている。これらは『アルマゲスト』にはないものである。
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