アメリカ以外の原子力空母
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/26 05:48 UTC 版)
「原子力空母」の記事における「アメリカ以外の原子力空母」の解説
ソビエト連邦の最高指導者として長く君臨したヨシフ・スターリンが航空母艦を帝国主義的な兵器として忌避していたほか、核兵器やミサイルの配備が優先されたこと、また同国の造艦技術が発達途上だったこともあって、ソ連海軍では原子力空母を含めて航空母艦の整備計画そのものがなかなか実現しなかった。一方、原子力推進艦船という点では、1950年代後半の627型(ノヴェンバー型)を端緒として原子力潜水艦の大量配備に着手し、1959年には原子力砕氷船「レーニン」も竣工させて、水上艦船への導入にも着手していた。 その後、1960年代後半に軽空母(AVL)が計画された際には、通常動力型と同時に原子力推進型も俎上に載せられており、これが発展した1160型では本格的に原子力推進が採択されたが、いずれも実現しなかった。その後、通常動力型・V/STOL方式の1143型(キエフ級)、更にSTOBAR方式の1143.5型(アドミラル・クズネツォフ)が順次に建造されたのち、発展型としてCATOBAR方式に対応するとともに原子力空母とした1143.7型(ウリヤノフスク級)が計画され、1988年11月に起工されたが、ソビエト連邦の崩壊もあって未成に終わった。 同艦が未成に終わったことで、「アメリカ国外初の原子力空母」の称号は、フランス海軍の「シャルル・ド・ゴール」のものとなった。これはクレマンソー級の後継艦として建造されたもので、1989年に起工された。同海軍は、既に1970年代よりル・ルドゥタブル級によって原子力潜水艦の運用に着手しており、同級の後継艦であるル・トリオンファン級と同一形式の原子炉を用いて「シャルル・ド・ゴール」の原子力推進機関が設計された。ただし冷戦終結後の予算削減の影響もあって建造は遅延し、海上公試で多くのトラブルに見舞われたこともあって、就役は2001年5月となった。 また中国人民解放軍海軍も、2018年より建造している003型に続いて設計を進めている004型では、原子力推進化を検討しているといわれている。
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