アメリカ(中心)の「インダストリアル・ロック」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 08:52 UTC 版)
「インダストリアル」の記事における「アメリカ(中心)の「インダストリアル・ロック」」の解説
アメリカで流行したインダストリアルは、ミニストリーがキリング・ジョーク(Killing Joke)から受けた影響を、さらにメタルよりに解釈したアルバム『The Land Of Rape And Honey』のころに形成された。このアルバムは、サンプリングやドラムの打ち込みを中心とした楽曲に、ヘヴィメタルのギターリフを取り入れたヘヴィメタルあるいはスラッシュメタルといえる。 このスタイルはナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)やフィア・ファクトリー(Fear Factory)、ラムシュタイン(Ramstein)のような後続のバンドを多数生んだ。これらのアメリカ型とも言えるインダストリアルは、ロックやヘヴィメタルの要素を大幅に取り入れ大衆向けに変化したものである。特にフィア・ファクトリー、ラムシュタインはサンプリングやシンセサイザーを使いインダストリアル的なサウンドを特徴とするが、基本的な音楽性はヘヴィメタルである。 このことから、アメリカ型のインダストリアルを「インダストリアル・ロック」または「インダストリアル・メタル」と呼び、従来のインダストリアルと区別する事がある。ただし当記事では「アメリカ型」としているものの、インダストリアル・ロック(メタル)のみが存在していたというわけでもなく、アンダーグラウンドではダニエル・メンチェ(Daniel Menche)など、ノイズや電子音楽など初期インダストリアルの特徴を色濃く受け継ぐアーティストが数多く存在している。 なお、代表格であったミニストリーやナイン・インチ・ネイルズがデジタルサウンド重視の音楽性から距離を置き始めたことに象徴されるように、バンドの音楽性の変化や、バンドそのものの解散が相次いだため、「アメリカ型の典型的なインダストリアル(ロック/メタル)」の流れは1990年代後半までに一度衰退している。しかし1990年代後半になると元ホワイト・ゾンビのボーカリスト、ロブ・ゾンビは自身のバンド、ロブ・ゾンビで人気を獲得し、同じくマリリン・マンソンもインダストリアル的なアプローチを交えつつ、より普遍的なロックとして一般大衆に受け入れられている。 また1990年代中期~2000年代初頭には欧米ではニュー・メタル・ムーブメントが興り、スリップノット(Slipknot)やリンキンパーク(Linkin Park)を始めとする多くの新世代のバンドが現れた。これらのバンドはインダストリアルと呼ばれる事はないが、生演奏中心の楽曲にサンプリング等を使い、アメリカ型インダストリアルの要素をより大衆の身近な物としていった。この2バンド以外にもミニストリー、あるいはフィア・ファクトリーといったインダストリアル・ロックの影響を多分に感じさせるバンドが多く現れた。
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