アメリカのろう教育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 18:45 UTC 版)
日本のろう教育が初等教育から始まって、最後に高等教育(筑波技術短期大学、現在の筑波技術大学)が整備されたのに対し、アメリカのろう教育はギャローデット大学などの高等教育が最初に整備され、下へと降りていった。 アメリカにも日本と同様、私立と公立の二種類のろう学校が存在する。学力レベルが高いのは私立の聾中央研究所(Central Institute for the Deaf)やクラークろう学校(Clarke School for the Deaf)である。この両校は聴覚口話法を採用しているが、大学進学率は6割から7割と非常に高い。ただしこの両校は私立であり学費は高額で、入学試験を行っているので、誰もが入れるろう学校ではなく、日本で言えば筑波大附属ろう学校が近い。一方、公立ろう学校は入学試験を行っていないので、原則として誰でもが入学出来る。 結果として、公立ろう学校には重複障害や重度の聴覚障害の者が集まることになる為、必然的に学力の平均は私立の後塵を拝することとなる。また同じ理由で公立校では聴覚口話法を採用することが難しい為、トータル・コミュニケーションや手話法を採用しているとされる。 アメリカにおける手話法はアメリカ手話ASLを採用する派と、対応手話MCE, Manually Corded Englishを採用する派に分かれている。都築はこの背景に、ろう者コミュニティによる政治圧力、すなわちASLのネイティヴ・サイナーであるアメリカろう者の雇用増を目指す思惑の存在を指摘している。ASLの利用を支持しているのは主に社会学者、文化人類学者、言語学者であり、MCEの利用を支持しているのは教育学者、心理学者であるとも都築は指摘している(この構図は基本的には日本国にも当てはまるものである)。 なお、キュード・スピーチはろう教育では用いられておらず、インテグレーションを選択した聴覚障害児のみ利用している。
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