アブチロン属とは? わかりやすく解説

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アブチロン属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/14 06:38 UTC 版)

アブチロン属(イチビ属)
Abutilon
タイプ種である、イチビ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : アオイ類 Malvids
: アオイ目 Malvales
: アオイ科 Malvaceae
亜科 : アオイ亜科 Malvoideae
: アブチロン属 Abutilon
学名
Abutilon Mill. [1]
タイプ種
Abutilon theophrasti Medik.
和名
アブチロン属
英名
abutilon
flowering maple [2]
下位分類(
本文を参照

アブチロン属(アブチロンぞく、学名Genus Abutilon)は、アオイ目アオイ科に分類される1標準和名のほかに「イチビ属」とも呼ばれる。世界中の熱帯から亜熱帯に160種程度が分布し、特に南アメリカ大陸で多様である[1]

名称

属名 "Abutilon日本語音写:アブーティロン、アブティロン)" は、英語名 "abutilon音写例:アビューティロン)" と同根で、本属の1種 Abutilon incanum と同定されている薬草 "Indian Mallow" を指すアラビア語 "أَبُو طِيلُونラテン翻字ʾabū ṭīlūn)"(音写例:アブーティールーン)に由来している[3]

一方、『園芸植物大事典 1』小学館(1988年刊)では、ギリシア語の[ a(否定、~がない)+ bous(牝牛)+ tilos(下痢)]に由来し、本属の植物が家畜下痢止めになると考えられていたことによると解説している[4][注 1]アラビア人古代ギリシア自然科学的知識を継承・活用しており、薬草アブーティールーンの起源も、辿れば古代ギリシアに行く着くのに違いない。

生物的特徴

一年草多年草または低木[1]

ウキツリボクショウジョウカ、また、それらを元に生み出された園芸品種が観賞用に栽培される[5][6][7]。一部の園芸品種は葉が五裂し、それをカエデの葉に見立てた flowering maple の英名がある[2]。インド原産のイチビタカサゴイチビ繊維植物採油用として栽培される一方、荒地や農地に帰化し難防除雑草として問題ともなっている[2]

分類

下位分類(2020年代)

現状の掲載内容は網羅的でない。

A. megapotamicum
ウキツリボク
A. theophrasti
イチビ
A. vitifolium(藤色)
A. × hybridum
'アプリコット'
A. × hybridum
'ドワーフ・レッド'
インド原産。原産地では繊維植物や種子からの採油用に栽培される。日本では奄美大島喜界島以南に帰化[1][2]
ブラジル原産。赤いと黄色の花弁を持つ花を咲かせ、観賞用に栽培される。
チリ原産。イギリスに1957年に導入されたヨーロッパでは新しい部類の種。青紫色の花が咲く[4]
ブラジル原産。橙色の花弁に赤い網目状の脈が入る。多くの園芸品種の交雑親として用いられている。
タイプ種。
インド原産。繊維植物として栽培もされるが、現在は帰化植物として世界各地で猛威を振るう。
2022年現在は Corynabutilon vitifoliumシノニムと見做されている。
チリ原産。5m以上に伸びる場合もある。花は淡紅色・白色・藤色がある[8]

交雑種

ショウジョウカやウキツリボク等の交配や突然変異から選抜された園芸品種群。様々な色や形がある[5]
ウキツリボクとショウジョウカの種間雑種。花は両種の特徴を受け継ぎ、赤い萼と黄色の花弁で、花弁に脈が入る[4]
A. ochseniiA. vitifolium の交配で生み出された園芸用の雑種。丈夫で、淡紫色の花を多数つける。[8]

シノニム

脚注

注釈

  1. ^ 生物学者による解説ではあるが、言語学的正確性は疑われ、典拠および整合性を確認できない。「bous(牝牛)」は、古代ギリシア語で「牛」「牡牛」を意味する "βοῦς (boûs)" のこと。

出典

  1. ^ a b c d 改訂新版日本の野生植物、24頁。
  2. ^ a b c d 世界有用植物事典、29頁。
  3. ^ SOEDHP (2002).
  4. ^ a b c 園芸植物大事典、116頁。
  5. ^ a b フローラ、71頁。
  6. ^ フローラ、72頁。
  7. ^ 庭の花図鑑500、166頁。
  8. ^ a b c d 園芸植物大事典、117頁。

参考文献





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