アサイラム対ワーナー訴訟(2012年)
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「モックバスター」の記事における「アサイラム対ワーナー訴訟(2012年)」の解説
2012年、ワーナー・ブラザース社とソウル・ゼインツ社(SZC)は、商標権侵害、原作表記の虚偽、商標の希釈化、虚偽広告、及び不正競争の廉でアサイラム社を訴えた。原告は、被告の制作した Age of the Hobbits という映画のタイトルが、SZCの保持する "Hobbit"(ホビット)の商標権を侵害していると主張した。この作品は『ホビット 思いがけない冒険』 The Hobbit: An Unexpected Journey の全米公開に合わせモックバスターとして制作されたもので、プロットは「肉食ドラゴンを駆るジャワ原人によって奴隷化された、平和を愛する小柄な種族「ホビット」の青年 Goben が、近隣に暮らす「巨人」(ヒト)たちと協力して敵を打倒する」というものである。事前の警告状によりアサイラム社は紛らわしいポスターのデザインを変更したが、タイトルの変更は拒否したことから訴訟となった。 パブリックドメインである童話とは異なり、J・R・R・トールキンの小説の映画化の権利は、ワーナー・ブラザース社とSZCに排他的に供与されている。ワーナー・ブラザース社とSZCは、ある調査で回答者の約16〜24%が Age of the Hobbits をトールキンのホビットに関連する作品と混同したことなどを証拠に挙げ、消費者がタイトルに惑わされ、劇場チケット販売のみならずDVD販売にも損害を与えていると主張した。 アサイラム社側は、インドネシアで化石が発見されたヒト属の亜種(ホモ・フローレシエンシス)のことを、一部の科学者が(トールキンの物語から借用した)「ホビット」という名前で呼んでいることを挙げ、科学的用語をフェアユースしたのだとして「ホビット」の語の使用が正当であることを主張した。アサイラム社はまた「トールキンの生み出した種族ではない」という警告は提供しているとも主張した。 連邦裁判所は、ワーナー・ブラザース社が「ホビット」という語の商標権を所有していることを確認、また作中で扱われた種族が先史時代のインドネシアに暮らしていたと触れられるだけでホモ・フローレシエンシスを示唆する証拠がないとして、アサイラム社側のフェアユースとの主張を退けた。2012年12月10日に原告勝訴となり、アサイラムには「ホビット」の語の仮差し止め命令が下った。この作品(Lord of the Elves というタイトルも用いられていた)は最終的に Clash of the Empires とタイトルを改めリリースされた(なお、日本では『リトル・キングダム~《小さき者》たちの大きな冒険~』というタイトルで発売されており、用語が一部変更されている)。
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