商標の希釈化(しょうひょうのきしゃくか)dilution
”商標の希釈化”とは、有名な商標(著名商標)について、他人がいろいろな商品やサービスに使用することにより、その著名商標の機能が弱められてしまうことをいう。特定の商品やサービスの商標として強く刻み込まれた消費者の認識が、他の商品やサービスに拡散されて、薄められることから希釈化(ダイリューション)と呼ばれる。
商標権者は、指定商品、指定サービスについて登録商標を使用する権利を専有し、その類似範囲(商品(サービス)または商標が類似する範囲)において他人が使用することを商標権侵害として禁止することができる。したがって、指定商品、指定サービスに類似しない商品やサービスに、他人が登録商標を使用しても、商標権の侵害とはならない。
しかしながら、著名商標については、指定商品、指定サービスと類似しない商品、サービスについて他人が使用した場合に、商標の希釈化が生じ、著名商標の所有者の利益を害するケースがある。そこで、このような希釈化行為は、不正競争行為であるとして、不正競争防止法により禁止されている。なお、商標登録されていない著名商標についても、希釈化の理論は適用される。
(執筆:弁理士 古谷栄男)
商標の希釈化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/02 13:40 UTC 版)
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商標の希釈化(しょうひょうのきしゃくか)とは、不正競争防止法第二条第一項第二号に定める著名表示冒用行為。トレードマークダイリューションとも呼ばれ、同第一号が定める周知表示混同惹起行為と区別される。日本では、フリーライド(タダ乗り行為)、ダイリューション(希釈化行為)、ポリュージョン(汚染行為)に大別されている。
平成6年5月1日に新不正競争防止法として、2条1項2号へ規定、施行された。それまでの商標法や不正競争防止法によるトレードマークへの侵害行為は、出所の混同に対して認められるものであった。これに対し、新法は、特定分野での競争や混同の可能性に係らず、著名なトレードマークの価値を減じる行為に対して侵害を認めるものである。
脚注
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- Callmann, Unfair Competition Trade-Marks and Monopolies (1983)
- McCarthy on Trademarks and Unafair Competition (1992)
- Frank I. Schechter, THE Rational Basis of Trademark Protecction, 40 Harvard law Review 812 (1927)
- 田村善之「不正競争防止法概説」有斐閣 (1994)
- 小野昌延「不正競争防止法概説」有斐閣 (1994)
- 山本庸幸「要説不正競争防止法」発明協会 (1993)
- 山本庸幸「不正競争防止法入門」ぎょうせい (1994)
- 通産省知的財産政策室監修「逐条解説不正競争防止法」有斐閣 (1994)
- 玉井克哉「フリーライドとダイリューション」ジュリスト1018-37
- 尾崎雅彦「ダイリューションの著名要件について」パテントV0l.49 No.10 (1996)
関連項目
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