アウト寄与率・レンジファクター
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/15 07:52 UTC 版)
「守備率」の記事における「アウト寄与率・レンジファクター」の解説
アウト寄与率(レンジファクター、RF: Range factor)とは、1977年にセイバーメトリクスの始祖、ビル・ジェームズによって提唱された、ある選手が1試合平均(9イニング換算)でいくつのアウトに関与したかを示す指標である。野球の守備はアウトを積み重ねることが目的であるので、寄与率によって守備時における選手の貢献度を数値的に理解することができる。守備範囲が広く、安打性のあたりをアウトにできる選手ほど数値が高くなる傾向にある。アメリカ・メジャーリーグの公式記録にもレンジファクター(RF)が採用されている。 算出方法は以下の通り。 アウト寄与率 = (刺殺 + 補殺) ÷ 守備イニング数 × 9 投手陣の奪三振数に左右される面はあるものの、同一リーグ内の同じポジションの選手どうしの比較としてはある程度有効な指標である。たとえば、あるチームの遊撃手Aの寄与率が4.50であり、別のチームの遊撃手Bの寄与率が5.00ならば、BはAよりも「優秀な遊撃手」であろうという判断の材料になる。同一ポジションの複数の選手を比較する場合、守備イニング数が選手によって違い、取ったアウト数では守備力の優劣を比較できないため、「守備についたイニング数」に占める「取ったアウト数」の比率によって守備力を比較する指標である。守備範囲が狭い選手と、守備範囲が広く守備力が飛びぬけている選手では数値の差が大きくなり、同じポジションの選手どうしの守備力を相対的に比較するのに適している。 ただし、1試合のアウト数は通常は27個でありどのチームもほぼ同じであるため、優秀な守備力をもつ選手ばかりのチームも守備力の劣る選手ばかりチームも、チームのレンジファクターの総合計はほぼ同じ数字である(チームの年間総アウト数 ÷ チームの年間守備イニング数 = どのチームもほぼ同じ)。 守備位置が違う選手の寄与率を比較することは無意味である。近辺に打球が飛んでこなければ処理しようがない遊撃手と、守備機会の9割以上が三振の投球を捕球することによる捕手の寄与率の数値を比較して、どちらがアウトに貢献しているかを評価することは無意味である。 日本では守備イニング数は公式記録として発表されていないため算出が難しく、そのため出場試合数で代用した簡易版レンジファクターが用いられることが多かったが、2010年からデータスタジアム社により算出されたレンジファクターが公表されるようになった。 簡易RF = (刺殺 + 補殺) ÷ 出場試合数 アメリカでは、メジャーリーグの公式記録は守備イニングによるRFを単に"RF"と表示しているが、スポーツメディアは守備イニングによるRFを"RF/9"(9イニングでのRF)と表示し、簡易RFを"RF/G"(Game数によるRF)と表示している。しかし簡易RFは、出場した試合ではほぼフルイニングを守る選手どうしの比較には簡便で有効であるが、途中出場の多い選手の守備力を表すには不適切である。 このようにレンジファクター(RF)はメジャーリーグの公式記録に用いられるが欠点もあるため、投手の奪三振率やゴロ/フライ傾向、投手の左右の投球回数割合、チーム守備力の影響などによる偏りの補正を行ったRRF(Relative Range Factor)が考案され用いられている。
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