より複雑な高低アクセント言語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/12 23:04 UTC 版)
「高低アクセント」の記事における「より複雑な高低アクセント言語」の解説
古代ギリシャ語など、いくつかの単純な高低アクセント言語では、長母音や二重母音のアクセントはどちらの母音にでも置くことができ、上昇アクセントと下降アクセントの対比が生まれる。例えばοἴκοι(oíkoi)「家で(副詞)」とοἶκοι (oîkoi)「家(複数主格)」のように。ガンダ語でも同様に、 2モーラからなる音節は平坦アクセントと下降アクセントの対立が生じうる。Bugáńda「ブガンダ(地域)」とAbagânda「ガンダ族の人々」のように。しかしながら、これらの言語においてこの対立は多くなく、体系的でもない。 より複雑なタイプの高低アクセント言語では、一語にアクセントは一か所ではあるものの、アクセントの持つ音調に2種類以上がある。たとえばコロンビアのBarasana-Eduria諸語における「高」と「高低」、スウェーデン語やノルウェー語のアクセント1とアクセント2、セルビア・クロアチア語の上昇調と下降調、パンジャーブ語の平坦(中立)、上昇、下降がある。 他の言語ではより複雑な仕組みを持ち、単純な高低アクセント言語から逸脱する。例えば、日本語の大阪方言の記述においては、語中のどの音節にアクセントが置かれるかだけでなく、語の最初の音節が高いか低いかも指定しなければならない。 ガンダ語では、例えばtúgendá「私たちは行っている」のように、アクセントに伴う「高低」の音調の直後でデフォルトの音調が現われる。これはアクセントのある音節よりもわずかに低い。しかしbálilabá「彼らは見るだろう」のように、デフォルトの音調がアクセント直後に現れずに2または3音節の間隔を開けて現れる語もある。このような語では、どの音節にアクセントがあるかだけでなく、デフォルトの音調がどこから始まるかも指定しなければならない。 諸言語がトーンを使用する方法には多数あるため、声調言語の専門家であるラリー・ハイマンなど、一部の言語学者は、「高低アクセント言語」というカテゴリーには一貫した定義を与えることができず、そうした言語は全て単に「声調言語」と呼ばれるべきだと主張している。
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