やおい・BLと男性同性愛
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/13 05:55 UTC 版)
「ボーイズラブ#ゲイとボーイズラブ」も参照 溝口彰子は、やおい作品には伝統的に 登場する男性キャラクターが同性同士の恋愛においても自分は異性愛者であると主張している。 登場人物がセックスその他において、受けと攻めに分かれ、固定化された擬似男女的な役割を演じている。 (いつも)アナル・セックスをする。 といった特徴が多く見られると述べている。こういった、女性の視点から一方的に美化され、歪曲された男性同性愛像がやおい作品によって流布されていることが、やおいというジャンルに対して現実の男性同性愛者から違和感や反発が寄せられる理由のひとつとなっている。男性から見て奇異な描写の典型として「やおい穴」がある(腐女子#腐女子が主に使用する用語を参照)。 前述した欧米文化におけるスラッシュ系文化に対しても、ゲイサイドから同性愛に対する陵辱であると抗議の声があがったことがある。やおい・ボーイズラブ作品は、登場する男性キャラクターがたいてい同性愛者ではなく異性愛者として設定された上で同性愛的な関係におよぶこと、また自身の同性愛嗜好について葛藤する描写がほとんどみられないという点において通常のゲイ文学とは異なる独自のジャンルと考えられる。 自らやおい愛好者でレズビアンであることを明らかにしている溝口彰子は、やおい作品にはゲイ・アイデンティティ(自らをゲイであると認めること)の忌避が顕著であり、やおい作品における男同士のカップリングは男女間のロマンチック・ラブを男性間の関係に置き換えたもので、強力な異性愛中心主義とホモフォビアに彩られていると指摘している。 もっとも、やおいも多様化しており、近年の作品には上記の傾向が必ずしも当てはまらないようになってホモフォビックな要素は減少してきている。[要出典]杉浦由美子 や三浦しをん はゼロ年代末の時点で実際にゲイの登場人物によるボーイズラブ作品が増加傾向にあると述べており、溝口自身も2007年には、「俺はホモなんかじゃない」というセリフを言わない主人公、カップルの一方または双方が自覚的ゲイであるキャラクターが増えていると述べている。 上野千鶴子 や中島梓 はやおい系作品内での男性キャラクター同士の同性愛的な関係と現実のゲイの男性間の同性愛関係は全く別物だと捉えており、水間碧(谷川たまゑ)はこういった考え方を「隠喩としての少年愛嗜好」であると表現している。こういった見解に対して石田仁は、やおい系作品で描かれる男性同士の同性愛関係はあくまで現実の同性愛を根源として物語の理解可能性を担保しているため、両者が無関係という主張は筋違いだと述べている。
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