はやぶさ2への分離カメラ搭載
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/04/05 22:09 UTC 版)
「DCAM」の記事における「はやぶさ2への分離カメラ搭載」の解説
はやぶさの後継機として計画されたはやぶさ2であったが、その実現までには紆余曲折があった。計画がなかなか進まない中、2009年にはやぶさ2は単にはやぶさの後継機ではなく、新規開発要素を加えていくことが必要であるとの判断がなされ、そこで探査対象小惑星に直径数メートルのクレーターを作るSCI(Small Carry-on Impactor 小型搭載型衝突装置)の搭載が検討されるようになった。これはプラスチック爆弾を破裂させることによって、約2キログラムの銅製の弾丸を小惑星表面に撃ち込み、人工クレーターを作って宇宙風化の影響を受けていない小惑星内部の物質のサンプルリターンに挑戦するという計画である。 SCIの計画が進むにつれて、人工クレーター形成時のはやぶさ2の避難先が課題となった。当初は弾丸が小惑星に衝突する状況を遠くから観測する予定であった。しかし人工クレーター形成時に放出される破片などによってはやぶさ2が損傷を受ける可能性があるため、結局、小惑星の影に退避することになった。しかしはやぶさ2が人工クレーター形成時に小惑星の影に隠れてしまうと、実際にSCIが作動したかどうかの確認が出来なくなってしまう。そこで2011年の初め頃になって、IKAROSに搭載したDCAM1、DCAM2のような分離カメラをはやぶさ2に搭載して、小惑星の影に隠れるはやぶさ2の代わりにSCIの作動を確認するアイデアが持ち上がった。 はやぶさ2に搭載されることが検討された分離カメラはDCAM3と名づけられた。当初の計画ではDCAM3の目的は、小惑星の影に退避するはやぶさ2の代わりにSCIが作動したかどうかの確認を行うことであり、また計画はオプション扱いであって、搭載が困難な事態となれば行わない予定であった。そこでDCAM3の開発は基本的にはDCAM1、DCAM2の設計を踏襲する形で制作が進められていった。ただしDCAM1、DCAM2はIKAROSのいわば自撮りが目的であるのに対して、DCAM3の撮影対象はSCIが衝突する小惑星であり、分離カメラを向ける対象が異なるために分離機構の設計に変更が必要であった。あと、DCAM3はDCAM1、DCAM2と比べて長い動作時間が要求されるため、搭載する電池の容量も増やす必要があった。
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