党議拘束(とうぎこうそく)
主に法律案の採決のとき、各政党は、あらかじめ法律案に賛成か反対かを決めておき、所属議員に投票行動を指示する。ひとつの政党が結束して行動するための手段として用いられる。
法律による党議拘束の定めはないが、共通の政治理念のもとに政治家が集まる政党は、その実現のために歩調を合わせる必要がある。議員個人ではなかなかできないことであっても、政党を組織し、「数の論理」で政治を動かそうとする。そのため、法律案の採決において、党議拘束は政党の存在意義の表れとも言える。
一般に、内閣総理大臣をはじめ閣僚(大臣)を出す政党は、政権与党として政府の提出する法律案に賛成する。逆に、政権を取っていない野党は、政府案に反対する。このとき、野党が政府案に代わる対案を提出することがある。
与野党のどちらにとっても、所属議員が党議拘束に反した行動をするのはあまり好ましくない。そこで、党議拘束に違反した所属議員には、除名や離党勧告、口頭注意などの処分が下される。政党が政治家個人の選挙運動を全面的に支援することと引き換えに、政治家には政党の意思に従ってもらおうという構図だ。
2000年11月、野党が提出した森内閣不信任案に対し、自民党の党議拘束に違反したとして加藤紘一議員は3か月の役職停止処分を受けた。このように重要案件であっても、通常は、除名という厳しい処分までは行かないようだ。
1996年、脳死を人の死と認めるかどうかの判断を求められた臓器移植法の採決では、個人の倫理的な問題として、ほとんどの政党は党議拘束をかけなかった。また、1999年の国旗国歌法について党議拘束をはずした民主党では、賛成と反対で党がふたつに割れた。
(2001.11.01更新)
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