その他文学
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菅原孝標女による『更級日記』や鎌倉時代の阿仏尼による『十六夜日記』にも琵琶湖周辺の光景が記述されており、中世文学においては竹生島信仰が、『平家物語』や謡曲『竹生島』などの作品で取り上げられている。戦乱の世になると、謡曲『自然居士』や室町時代の小唄を集めた『閑吟集』において琵琶湖の人買舟や密漁といった荒々しい様相が描写されるようになるが、一方軍記物においては『義経記』などに琵琶湖は登場しているものの、湖上の戦の様子を描いた作品はほとんどない。江戸時代については、松尾芭蕉による 四方より花吹き入れて鳰の海 などの琵琶湖畔で詠んだ90あまりの俳句と『幻住庵記』、そして上田秋成による夢物語「夢応の鯉魚」(『雨月物語』)が傑作として挙げられる。 近現代に琵琶湖に関連する小説としては、次のようなものがある(丸括弧内はおもな関連する土地)。 小泉八雲『鮫人の恩返し』(瀬田の唐橋)『果心居士の話』 泉鏡花『瓔珞品(ようらくぼん)』 岡本かの子『金魚繚乱』(大津) 井上靖『星と祭』(長浜) 芝木好子『群青の湖』(近江八幡・葛籠尾崎) 室町時代を描いた谷崎潤一郎『盲目物語』は、湖上の描写は少ないものの、作品世界は竹生島の沈鬱な影を色濃く帯びており、秦恒平『みごもりの湖』では藤原仲麻呂の乱の、成澤邦正『琵琶湖の浮城』では室町末期水茎の岡の湖上の戦が描かれている。琵琶湖の汚染や自然破壊を扱った作品としては、早くは1919年(大正8年)の近松秋江『湖光島影』があり、第二次世界大戦後の高度経済成長期には西口克己『びわ湖』が発表されている。また、中上健次『日輪の翼』や平成の小林恭二『カブキの日』にも琵琶湖(前者は瀬田の唐橋、後者は堅田)を舞台とした描写があるが琵琶湖そのものにはわずかしか触れられておらず、松村 (2001, p. 268) は自然破壊などにより琵琶湖の生命力が衰えたためだと述べている。
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