吸い口から喫煙者本人が吸うたばこの煙のことを「主流煙」と言いますが、反対側から立ち上る煙のことを「副流煙」、また喫煙者が吐き出した煙を「呼出煙」と言います。特に室内などでは、喫煙者の喫煙開始後ただちにこれら副流煙と呼出煙とが拡散して混ざります。このように、喫煙するつもりもないのにこうしたたばこの煙を吸わされてしまう、あるいは吸わせてしまうことがあります。
副流煙ではフィルターなどがないこともありますが、燃焼の温度が低く、それだけ不完全燃焼が起こりやすく、生成される物質の分布も主流煙とは異なります。また家庭内や車内など、継続的にこうしたたばこの煙にさらされることにより、たばこを吸わない人であっても、たとえば一酸化炭素やニコチンの代謝物が、喫煙者と同じくらい検出されることがあります。
日本では社会全体としてたばこの煙に違和感が少ない時期があったようですが、実は昭和初期に「受け身の喫煙」と言及されていたこともあり、影響は決して小さくありません。よくよく考えると、日常生活でたばこの煙ほど継続的に、高濃度の曝露を受ける場面はないことに気付きます。あらためてたばこの煙を吸わされること、あるいは吸わせてしまうこと、について考えてみてはどうでしょうか。
じゅどう‐きつえん【受動喫煙】
受動喫煙(じゅどうきつえん)(passive smoking)
喫煙者本人ではなく、その周囲の人が間接的にたばこの煙を吸い込むこと。たばこを吸わない人でも、喫煙者と同様の影響があるとされる。間接喫煙ともいう。
受動喫煙では、直接たばこを吸っている人と同様に、肺がんや虚血性心疾患、呼吸器疾患、乳幼児突然死症候群などの危険因子が発生すると考えられている。そのため、嫌煙権として、受動喫煙からたばこを吸わない人を保護する社会環境が求められている。
厚生労働省が策定した「健康日本21」では、「たばこのない社会」という社会通念を確立するため、受動喫煙の危険性についても普及・啓発を図るとしている。
2002年7月26日に成立した健康増進法は、受動喫煙について「室内またはこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること」と定義した。罰則のない努力規定に過ぎないものの、学校や病院など多くの人が利用する施設の管理者に対して、受動喫煙を防止するための対策を取るように求めている。
(2002.07.29更新)
受動喫煙
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