こだわりと批判
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/13 14:09 UTC 版)
1600mと2400mという異なる距離のGIで好走すれば、引退後に種牡馬としての価値が高まると考えており、3歳時にはNHKマイルカップから東京優駿というローテーションを採用することが多い。2001年にクロフネで初めて挑み、NHKマイルカップで優勝するが東京優駿では5着。翌2002年のタニノギムレットの場合は、皐月賞3着の後NHKマイルカップで3着に入り、東京優駿で優勝した。そして2004年、キングカメハメハでついに両GIを制覇した。2010年、ダノンシャンティがNHKマイルカップを勝利しダービーへ出走予定であったが骨折により取り消しとなった。また、2006年にもフサイチリシャールが同様のローテーションを取った(皐月賞5着、NHKマイルカップ6着、東京優駿8着)。3歳の秋のローテーションではクラシック路線の菊花賞には拘らず、クロフネやキングカメハメハなどは天皇賞(秋)を目指していた。 山内研二らと同様に「馬の調子がいいときにはどんどん使う」という考えの持ち主でもあり、短期間で数多の重賞優勝馬を輩出した。ただそれは一方で、競走馬に対するハードなローテーションの採用となって表れている。 過去にクロフネ、タニノギムレット、キングカメハメハは古馬になる前に故障で引退してしまったほか、ダイワスカーレット、ダノンシャンティも屈腱炎で長期休養・引退などを余儀なくされたため、競馬ファンの一部からは「クラッシャー」調教師の一人として名指しで批判されている。ただ一方で「身を削ってでも結果を残し後世に種を残す方がサラブレッドのためではないか」などとしてその姿勢を擁護する者も少なくない。 本人も管理馬の故障については意識しているようだが、2006年のインタビューでは「もっと馬を強くしようと思ったら、調教で壊れるか壊れないかのギリギリのところまで負荷をかけなければなりません」「自分たちは馬が壊れたときの損失がどれだけ大きいかを知っています。だから、どうしても安全なほうに行きたがる。しかし、それでは強い馬をつくれません」とも語っており、馬の故障は本意ではないものの避けては通れないものとの認識を示している。ただ2011年のインタビューでは「だんだん馬が壊れることの怖さが大きくなってきた」とも語っており、以前と比べ調教をセーブしていることを覗わせている。 クロフネ、タニノギムレット、キングカメハメハの3頭は種牡馬としても好成績を収めているため、清水成駿は「若くして競走馬として壊れ短命に終わったことが逆に種牡馬としての成功につながっている」として、茶道でいう「破調の美」になぞらえて松田を「競馬界の古田織部」と称した。
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