うなり駒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 16:42 UTC 版)
ハーディ・ガーディにはドローン弦の1本に「うなり駒」を持つものがある。特にフランスのヴィエル・ア・ルおよびハンガリーのテケルーラントにはよく見られ、前者では「シヤン」(犬)、後者では「レチェグー」(ブンブンいうもの)と呼ばれる。現代のフランス式楽器の製作家の中には、うなり駒の数を最大4つまで増やしている者もいる。 うなり駒はドローン弦の下にあるゆるい駒である。駒の一端は縦方向の細長いスロットに差し込まれている(ハンガリー式の楽器ではペグによって押さえられている)。うなり駒の押さえつけられていない側(「ハンマー」と呼ばれる)は響板の上に乗っていて、簡単に振動するようになっている。ホイールをゆっくり回している時には、トロンペット弦が駒を押さえつけ、ドローンを鳴らす。しかしホイールが加速すると、ハンマーが持ち上がって響板にふれながら振動し、独特のリズミックなうなりを発するのである。この効果はアーティキュレーションやびっくりさせる効果を狙って舞曲などで用いられる。 フランス式の楽器では、うなり駒の感度を「ティラン」というペグで調整できる。ティランはテールピース(緒止め)についており、トロンペット弦とワイヤーまたは糸で連結している。ティランを使ってトロンペットにかかる横方向の力を調整し、ホイールの速度に対する感度を調整するのである。 うなり駒を鳴らすには、ホイールの回転をどのポイントで加速するかなど、さまざまな技術がある。加速して「ヒット」するたびに、強いうなり音を得ることができる。「ヒット」は奏者が回すたびにコントロールするものであって、自動的に鳴るものではない。 ハンガリー式のテケルーラントでは、「レチェグーエク」というドローン弦を下に押さえつけるくさびを使って同じような調整を行っている。伝統的なテケルーラントの奏法では、うなり駒のコントロールは全て奏者の手首によって行われており、フランス式の楽器とは異なった音やリズムの可能性を持っている。
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