いず型巡視船 (初代)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/13 15:31 UTC 版)
いず型巡視船 | |
---|---|
基本情報 | |
艦種 | 2,000トン型PL[1] |
運用者 |
![]() |
就役期間 | 1967年[1] - 1998年 |
次級 |
そうや (PLH) みうら (3,000トン型) |
要目 | |
常備排水量 | 2,081トン[1] |
総トン数 | 1,793トン |
全長 | 95.5メートル (313 ft)[1] |
垂線間長 | 86.45メートル (283.6 ft) |
最大幅 | 11.6メートル (38 ft)[1] |
深さ | 6.8メートル (22 ft)[1] |
吃水 | 3.8メートル (12 ft) |
機関方式 | CODOD方式 |
主機 | ディーゼルエンジン×4基 |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
出力 | 10,400仏馬力(PS)[1] |
速力 | 20ノット[1] |
航続距離 | 6,000海里 (18.8kt巡航時)[1]、14,500海里 (12.7kt巡航時) |
乗員 | 72名 |
兵装 | 40mm単装機銃×1門 (後日装備) |
いず型巡視船(いずがたじゅんしせん、英語: Izu-class patrol vessels)は、海上保安庁が運用していた巡視船の船級。
来歴
1965年、台風第29号の急転および急激な発達によって、アグリハン島付近で台風避泊を行っていた日本の遠洋カツオ・マグロ漁船団のうち、6隻が沈没、1隻が座礁大破し、死亡及び行方不明者209人を出すというマリアナ海域漁船集団遭難事件が発生した。これは台風の強さ・針路が天気予報と大きく異なったことが原因であると考えられた[2]。これを契機に、南洋で巡航しながらの気象観測・救難任務を目的として建造されたのが本型であり、昭和41・42年度計画で各1隻が建造された[3]。
設計
船型は船首楼型とされているが、船首楼は全長のほぼ3分の1におよぶ長さであった。船体は鋼製で、耐氷構造とされていた。また復原性向上のため、船体内外に1組ずつフリューム式の減揺水槽を備えていた[3][4]。
主機関は、低出力の巡航機(計1,600馬力)と大出力の高速機(計10,400馬力)という2種類のディーゼルエンジンを切り替えて使用するCODOD方式が採用された[3]。このうち、高速機についてはSEMT ピルスティク系の12PC2V中速ディーゼルエンジンともされている。高速機では24.6ノット、巡航機では14.5ノットを発揮でき、また巡航機のみを使用した場合は14,500海里という長大な航続距離を誇った[4]。
上記の経緯から、竣工時は後部上部構造物に気象レーダーを備えていた。その巨大なレドームは外見上の大きな特徴となったが、昭和53年度に撤去された。一方、当初は非武装であったが、新海洋秩序時代の到来にあわせて、昭和52年度に40mm単装機銃を搭載した。また船隊指揮船としての運用も考慮されたことから、船橋構造物内には巡視船初のOIC室が設けられていた[3]。
同型船
一覧表
計画年度 | 船番 | 船名 | 造船所 | 進水 | 就役/配属替え | 配属部署・管区 | 解役 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
昭和41年[1] | PL31[1] | いず[1] | 日立造船向島工場[1] | 1967年1月 | 1967年7月31日[1] | 横浜 (第三管区)[1] |
1997年8月14日 | 1978年(昭和53年)5月~1981年(昭和56年)の間、海上保安学校における総合乗船実習(約1週間連続航海実習)時に同校に派遣され、実習船として使用された[注 1]。 |
昭和42年[1] | PL32[1] | みうら[1] | 日立造船舞鶴工場[1] | 1968年11月 | 1969年3月15日[1] | 1998年9月21日 | ||
1993年3月25日 | 舞鶴 (第八管区) |
1993年(平成5年)4月~1998年(平成10年)9月21日まで舞鶴保安部から海上保安学校に通年派遣され、前船「いさづ」の練習船業務を引き継いだ。 1998年(平成10年)「みうら」の就役に伴い解役。 |
運用史
本型は、ヘリコプター搭載大型巡視船(PLH)が登場するまでの約10年間、海上保安庁最大の新造巡視船として活躍した[5]。また「みうら」は、1993年から解役までの間、海上保安学校の練習船を兼務しており、これは同船を襲名した3,000トン型巡視船によって引き継がれた[3]。
脚注
注釈
- ^ これ以前は「宗谷」が派遣されていたが、同船の解役に伴い、「いず」「みうら」によって引き継がれた。1982年(昭和57年)「いさづ」就役とともに、同船に任務を引き継いだ。
出典
参考文献
- 海人社 編「海上保安庁全船艇史」『世界の艦船』第613号、海人社、1-216頁、2003年7月。 NAID 40005855317。
- 真山良文「海上保安庁船艇史」『世界の艦船』第538号、海人社、90-99頁、1998年5月。NDLJP:3292322。
- Prezelin, Bernard (1990), The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 1990-1991, Naval Institute Press, ISBN 978-0870212505
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