『放射能汚染マンションによる癌死の予防効果』に対する問題
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「放射線ホルミシス」の記事における「『放射能汚染マンションによる癌死の予防効果』に対する問題」の解説
台湾では台北市およびその周辺において1982年から1984年に放射性物質であるコバルト60が建築資材に混入し学校やアパートの鉄筋に用いられ、約1万人が長期にわたって被曝したが、2004年に第14回環太平洋国際会議(PBNC)において発表された調査結果によると、1983-2002年の期間におけるアパートの居住者の癌死の発生は、台湾の一般公衆の自然発生的な癌死の発生のおよそ3%にまで激減し、先天性奇形も、一般人の発生のおよそ7%と劇的な低下を示した。従って、低線量慢性被曝は癌死亡を劇的に予防する。論文は2007年に「Dose Response」誌に掲載されたが、2004年の会議は大いに議論の呼ぶところとなり、米国エネルギー省(DOE)の仲介でカナダの疫学調査の専門家が研究に参加し、詳しい調査が行われることになった。 2008年に発表された台湾国立陽明大学による疫学調査の結果によると、追跡期間を1983-2005年、症例は国立癌登録で特定、各個人の行動様式から個人線量を推定、住民の受けた平均被曝線量は48mGy(中央値6.3mGy)とし、比例ハザードモデル(Proportional hazards model)を用いた解析からは、以前の報告にあったようながん減少の傾向は観察されず、慢性リンパ球性白血病を除いた白血病で、100mGyあたり1.19(95%CI 1.01-1.31)のハザード比(英語版)の有意な増加が観測され、乳癌で、100mGyあたり1.12(90%CI 0.99-1.21)のハザード比の増加傾向が観測されている。なお、この研究では住民の行動様式から個人線量を推定しているが、個々の被曝線量は染色体損傷や歯や骨に記録された放射線損傷から調べることができる。
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