『四つの講話』
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「ニザーミー・アルーズィー」の記事における「『四つの講話』」の解説
『四つの講話』は彼の書作のうち、唯一現存しているものである。この書は本来『逸話集』(『マジュマウン・ナワーディル』)の書名で知られていたが、内容が四種の講話集からなっているため『四つの講話』と呼び習わされるようになったという。本文は書記・詩人・占星術師・医師に関する逸話がそれぞれ10編ほど集められている。人名・年代にいくつかの間違いがあり扱いには注意を要するが、特に詩人に関してはウマル・ハイヤームの他、フィルドゥスィーら著名な詩人の逸話が取り上げられ、貴重な史料となっており、また医師に関してもイブン・スィーナー、ラーズィー等の逸話が収録されている。本書はイングランドの詩人エドワード・フィッツジェラルド(英語版)がウマル・ハイヤーム『ルバイヤート』を訳した際、彼の逸話を本書から採ったため有名となり、英訳、仏訳、伊訳、スウェーデン語訳、和訳が存在する。 アルーズィーは、『四つの講話』の序文で、自然科学、認識論、政治に関する問題について詳しく述べている。序文にある「宇宙誌について」は対比的な二行が連句となっていて、ありとあらゆることが二元論的に対置されている。また、アルーズィーは、いわゆる言語的記号体系としての「ラング」のようなものが物事を順序付け、何よりも大きなものであるというイスラーム神学的思想を披瀝する。ここでは、この物事を順序付ける記号体系こそが神であり、不滅にして、古代ペルシア思想における正統なるシャーハーンシャーであるという考えが、ムスリムの語彙で語られる。また、アルーズィーの社会階層に関する考え方は、ペルシア的思惟のみならず、プラトンの『国家論』の影響も顕著である。
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